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【第101回】 住まいの安全性を高める「レジリエンス住宅」とは

最近多くなったテレビやインターネットで見かける災害のニュース。「今までに体験したことのない豪雨」という尋常でない大雨に見舞われるような環境になってしまいました。
今の住まいに求められるのは、そんな災害が起きた際に安全に暮らせる事です。日々安心して過ごせる住まいにするためにどのような事に気を付ければいいのか。また住まいの安全性を高めるために必要な準備をどうすべきかについて、チェックリストを踏まえて、様々な災害リスクをコントロールするための工夫についてお伝えします。

【1】災害対策にもなるレジリエンス住宅とは

 新型コロナウィルス感染症をきっかけに、日頃から防災意識を高め災害時に避難所へ行かずに安全を確保して生活を続けたいと考える方が増えているようです。そんな災害時に発生するリスクは以下のようなものがあげられます。

<住まいにおける災害リスク>
・地震による崖崩れや大雨などの河川の氾濫による建物倒壊
・電気・ガス・水道などのライフラインの停止

もし、これらの災害に見舞われ自宅が避難勧告を受けた場合でも、新型コロナウィルスの感染拡大も相まって、以下のような理由から避難を躊躇される方も少なからずおられるようです。

① 密な環境や、プライバシー確保の問題で避難場所に不安を感じている
② ペットが心配で自宅を離れることができない

実際、自宅から避難せずに被災してしまった方も報道されております。 これらの災害発生時に自宅待機を可能にするための手段として、「レジリエンス住宅」が注目されています。

■「レジリエンス住宅」とは? レジリエンスとは、外部から受ける力や影響力に対する「しぶとさ、強靭さ、回復力」を意味する言葉です。この考え方を応用して、普段は暑さ・寒さに強く快適に過ごすことができ、災害など家族の安全を脅かすことが起きた時には被害を小さくし回復を早めてくれる、そんな住宅を【レジリエンス住宅】といいます。

 

【2】「レジリエンス住宅」のチェックリスト

 

 日本サステナブル建築協会がまとめたチェックリストによりますと、住まいの建物の性能と住まい手の暮らし方を対象に、平常時・災害発生時・災害後の3つの観点から「住まいのレジリエンス度」を確認することができます。今回主なものをピックアップしてみましたので、ぜひ一度確認してみてください。

<「住まいのレジリエンス度」リストの構成>

出典:HP 建築環境総合性能評価システム




  ■平常時のレジリエンス度(免疫力)
日頃から何ら問題なく生活している住まいでも、知らず知らずの内に身体に負担がかかっているなど、思わぬ事故につながってしまう原因が潜んでいることがあります。以下のチェックリストは平常時の住まいにまつわる「レジリエンス」な項目の一例です。


■災害発生時のレジリエンス度(土壇場力)
万が一の場合にも、住まいが安全とプライバシーを守ってくれるように、災害時の「レジリエンス」についても準備が必要です。


■災害後のレジリエンス度(サバイバル力)
大きな災害の後の二次災害を防止するためにも、日頃の準備と心掛けが必要になります。


以上の3種類のチェックリストの結果がバランスよく保たれていることが重要です。皆様のお住まいはいかがでしょうか。 普段からどんな状況化でも安全に生活できる備えを整えるために、こちらのチェックリストを確認して、現状の不足点を把握することからはじめてみましょう。

チェックリストの全項目は以下のサイトより、確認することができます。
建環境総合性能評価システム

 

【3】実際に災害に強い家とは?

先にあげた「住まいのレジリエンス度」を確認した後は、実際に皆様のお住まいを確認していきましょう。

住まいの災害対策の目的は「直接的な被害を防ぐ」×「通常の生活を続ける」ことです。そのためには主に3つの要素が求められます。
1. 地盤:住まいが建っている立地や地盤がしっかりしていないと、いくら強い建物であったとしても倒壊する危険性が高まります。ハザードマップや地盤調査などで、周辺環境の災害発生リスクを確認し、被害を最小限にするための建築方法で建築することが大切です。

2. 構造:建物が耐震上どれだけの余力を持った建て方をしているのかがポイントです。耐震等級などの基準がありますので、最低でもその基準を満たして建物を建てる必要があります。 構造で言えば、例えば柱と柱の間に筋交いと呼ばれる補強材などの入った耐力壁を配置することで建物の強度を高めることができます。

3. 住宅設備:災害時にライフラインがストップした後に、自宅待機ができるかどうかは、太陽光発電などの住宅設備が整っているかが重要です。断水時に水などが使用できるような「エコキュート」や電気をつくる「太陽光発電」、その電気を貯める「蓄電池システム」など様々な設備が開発されています。断熱性の高い住空間と、最新設備を備えておくことで、災害時にも安心な生活を送ることができます。

日々最新の情報に基づき住宅設備やデザインなど、住宅業界を取り巻く環境は変わります。今は脱炭素社会に向けて、政府が示す基準に対して省エネルギー住宅の開発に各社技術を競い合っている状況です。住まいの安全をより高めて、安心できる生活にするためにも一度、住宅展示場で最新の住まいを体験してみてはいかがでしょうか?


※2021年8月31日時点の情報を元に作成されています。

 


監修・情報提供:金内 浩之 (一級建築士)
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