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【第10回】家族を地震から守る!地震に強い家づくりの鉄則

東日本大震災から3年。3月11日がまもなくやってきます。被災地の復興は思うように進まず、住宅地であった場所がいまだに野原のような手付かずの状態という町が多く残されています。
 3年という月日が経っても、その爪痕は生々しく残っているばかり。
 震災の記憶、経験を無駄にしないためにも、もう一度、自分たちの家のことを考えてみてはいかがでしょうか。

Q1 耐震・制震・免震住宅とは?

 日本は世界でも有数の地震が多い国です。そして、その地震に対する建築技術は世界一と言っても過言ではありません。高層建築物に用いられていた制震や免震の技術は、今では住宅にも用いられるようになってきています。ではそもそも耐震、制震、免震とはどういう技術でしょうか。
 図でわかりやすく紹介しましょう。

耐震

 耐震とは揺れに対して耐えること。がっちり強固につくって、地震の揺れに耐える。現在、もっとも一般的でもっとも多く、住宅で採用されている考え方です。筋交いやブレースと呼ばれる斜めの材を用いて建物が変形しようとするのを防ぐ工法。2×4に代表されるように壁面全体で揺れに耐える工法。柱や梁の接合部を強固にすることで変形を防ぐラーメン構造と呼ばれる工法。様々な工法がありますが、そのどれもが建物を強くして揺れに耐えようという発想に基づいています。

制震

 制震とは振動を制すること。建物に組み込んだ機構によって、地震による建物の振動をできるだけ小さくしようという考え方です。建物の中に組み込んだおもりや振り子、水などの重量物を建物の揺れの方向と逆方向に動かすことで揺れを打ち消すタイプと、油圧ダンパーなどを建物に組み込み、揺れのエネルギーをダンパーの摩擦によって熱エネルギーに変換して揺れを吸収してしまうタイプのふたつのタイプが主流になっています。住宅に使われるのは主にダンパーを筋交いのように建物に組み込んだ、エネルギー吸収タイプです。

免震

 免震の発想は建物と地面の縁をきってしまうこと。極端なことを言えば、空中に建物が浮いていれば地震の揺れは建物に伝わらない。という考え方です。地震の揺れが来た時に、建物の足下に組み込んだ免震装置によって「滑らしたり」「転がしたり」して揺れを建物に伝えづらくします。基礎と土台を緊結せずに、建物全体が滑ってズレることで地震の揺れを建物まで伝えない京町家の構造は、古くからの免震構造と言えるかもしれません。

 住宅展示場にある大手ハウスメーカーでは各社様々な地震対策を行っていますので、モデルハウスを見学した際、担当者に確認してみると良いでしょう。

Q2 ハウスメーカーの工法・構造の違いとは?

 住宅の構造は大きく分けて「木造」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」の3つに分類されます。 それぞれメリットとデメリットがありますし、土地の形状や地盤の状況によって条件が一様ではないですので、一概にどの工法、構造が優れているとは言えません。重要なことはそれぞれの特性を理解して、納得して選ぶことです。それでは細かく見ていきましょう。

木造

 木造には大まかに、①在来工法、②2×4工法、③パネル工法、④丸太組工法の4つに分類することができます。このうち、よく住宅で用いられるのが在来工法と2×4工法。みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
 在来工法は土台、柱、桁、梁などで骨組みをつくっていき、筋交いを入れて揺れから守る工法。2×4工法は壁を組み立てていく工法です。イメージとして、在来工法は「線」2×4工法は「面」で構成されていると言えばよいでしょうか。一般的に在来工法は設計の自由度が高くリフォーム等をするのも比較的容易であることがメリットで、2×4工法は工期が短く済み、耐震性能が高いことがメリットと言われています。ただ、昨今では在来工法でも筋交いではなくて構造用合板を貼ることで「面」で耐震性能を保持することが多く、単純にどちらの方がより耐震性能が高いか、ということはなかなか言えなくなってきています。

鉄骨造

 鉄骨造とはその名の通り、鉄で構成された建物です。使用する鉄材の厚みによって「軽量」鉄骨造、「重量」鉄骨造に別れます。軽量鉄骨造は、木造の在来工法の鉄骨版とイメージすると良いでしょう。重量鉄骨造も構成としては似ていますが、部材同士の接合部分を強くすることで、ブレースなどの斜めの材を入れなくても揺れに強くなるラーメン構造にすることができます。どちらも木材よりも長い距離を柱がなくても持たせることができるため、広い空間、大きな開口部をつくれるなど、設計の自由度が高いことが特徴です。デメリットをあげるとすれば、昨今の鉄の価格の高騰によって、工事費が高めになる傾向があることでしょうか。

鉄筋コンクリート造

 鉄筋コンクリート造はコンクリートの中に鉄筋が組み込んである構造です。鉄筋がコンクリートの引っぱりに弱いというコンクリートのデメリットをコンクリートが鉄筋のさびやすさなどのデメリットをお互いがお互いに補いあっている合理的な構造です。柱と梁で構成されるラーメン構造と壁で構成される壁式構造が住宅で良く使われる工法です。設計の自由度が高く、遮音性にも優れており、耐震性能もとても強いことがメリットです。しかし、その分建物が重くなってしまうため、他の構造とくらべると、地盤改良や杭工事にかかる費用がとても高くなる可能性があります。


 どの構造、工法にもそれぞれの特徴があります。その特徴を活かした家づくりができれば、きっと素敵な空間を手に入れることができると思います。下記の表にそれぞれの長所をまとめておきます。

工法 長所 種類 特徴
木造 ・その他の構造よりも安価
・建物の重量が軽い
従来工法 ・設計の自由度が高い
・開口部が大きく取れる
・増改築に対応しやすい
2×4工法 ・熟練した技術が無くても施工しやすい
・工期が短くなる
鉄骨造 ・均質な構造の精度
・RC造よりも軽量
ブレース構造 ・工期が短い
ラーメン構造 ・間取りの自由度が高い
鉄筋
コンクリート造
・耐震性に優れる
・耐火、耐久性に優れる
ラーメン構造 ・間取りの自由度が高い
壁式構造 ・室内に柱や梁が出てこない

Q3 自分でできる耐震度チェック&防災の工夫とは?

 大きな震災が起こると、防災の意識はとても高くなります。
 しかし、震災から年月が経っていくとだんだんとその意識が薄れていってしまうのが人間の性というもの。ですが、自分の、そして家族の命を守ることですので、防災への意識は常に持っていたいものです。
 家に関していうのであれば、まずは今住んでいる家の耐震性能を知っておくことが大事です。1981年に建築基準法施行令が改正されて、それ以前とそれ以後の構造の考え方が変わりました。1981年以前に建てられた建物を「旧耐震」、1981年以降に建てられた建物を「新耐震」と呼ぶことがあるのはそうした背景からです。
 しかし、旧耐震だから危険で、新耐震だから安全というわけでは決してありません。過去の震災においても、新耐震なのに倒壊した建物もあれば、旧耐震でも地震に耐えた建物もあります。ですので、重要なことは旧耐震か新耐震かではなく、実際にどれだけの耐震性を保有しているのかということです。耐震診断や耐震改修には行政が補助金や助成金を出している地域もありますのでお住まいの区のホームページなどを確認してみると良いでしょう。
また、参考までに下記のサイト「東京都防災ホームページ」には都内の相談窓口や助成制度の説明などが記載されています。

 また、たとえ家自体に被害がでなくても、家の中に置いてある重い家具が倒れてきたり、ガラスが割れたりすることで、大きな損害を受けるケースは非常に多いです。背の高い家具は特に金物などで壁や天井に固定する。ガラスには割れた時の飛散を防止するシートを貼る。高い位置の戸棚には耐震ラッチを取付ける。などなど、いまからでもできる工夫はありすので、家の中を見渡して、危ないな、危険だなと思うところには処置を施しましょう。

 その他に防災には何よりも家族の日頃のコミュニケーションが欠かせません。万が一のときにはどうやって連絡をとるのか、どこに集まるのか、そうしたことを確認しておくことが大事です。家族のコミュニケーションが円滑になるような空間に住まうということも、防災のひとつかもしれません。
 下記の簡易診断表などを活用して、家族のコミュニケーションを計ってみてはいかがでしょうか。

我が家の住まい、簡易診断表(あくまで目安ですので、専門家に相談しましょうね)

監修・情報提供:本間美紀(キッチンジャーナリスト)
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本記事はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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