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【第33回】消費税8%で購入できるのはあと1年!? 今が建てドキの理由 第三弾

過去2回のコラムでは「マイホームは今が建て時の理由」について解説しました。今回は2015年に増税された「相続税」「贈与税」の観点から今、住宅を建てる意義や住宅の建て時について考え、今後の住宅価格動向についてまとめます。

【1】相続税増税で二世帯住宅がメリットに?!

 2015年1月1日から相続税が増税され、相続税の課税対象になる人が増えました。「相続税の負担は少しでも減らしたい」そう思う人は多いはずですが、そんな中、注目されているのが「二世帯住宅」です。二世帯住宅の相続税を理解するには、まず一般の住宅の場合について理解しておく必要があるので、今回の話は「一般の住宅の相続税評価」の話からスタートします。
相続税計算の際「土地」の評価は路線価というものを基準に決めていくのですが、ここでは仮に土地の評価を6,000万円と仮定します(1㎡あたり30万円で土地の広さを200㎡と仮定)。何も建物が建っていない更地の状態だと、相続税計算を行う上では、その土地は6,000万円の価値があると評価されます。
しかし、その土地の上に自宅が建っている場合、相続税計算上の評価を下げることができます。自宅が建っている土地については330㎡までは、評価を80%減できるという特例があるのです。6,000万円の土地でも相続税計算上は1,200万円の評価になる、ということです。

ただし、この特例を受けるためには以下のような条件があります。

 上記①〜④に該当しない場合、評価は80%減にはならないということです。例えば、親が住んでいる家とは別に、子が土地を買ってそこに家を建てた場合、親が亡くなって子が親の土地を相続しても①〜④のいずれにも当てはまりません。80%減の評価にはできず、6,000万円の土地であれば6,000万円と評価されてしまうのです。

 では、今回のテーマである「二世帯住宅」はどうなるのでしょうか。二世帯住宅の場合、完全分離型(親の居住部分と子の居住部分が完全に分かれて、建物内で行き来ができない)のものでも親と子は「同居している」とみなされます(ただし建物を区分登記にはせず共有登記にする必要あります)。上の①~④の中では②の「同居している親族(子)が相続して引き続き居住する」とみなされるため、相続税計算上の評価は80%減ができるのです。

 このように子が住宅を建てるなら、二世帯住宅にした方が相続税計算上、有利になる可能性があります。
 もちろん相続税対策になるからという理由だけで二世帯住宅を建てるのも正しい考え方ではありませんが、2015年の相続税増税後に二世帯住宅を検討する意義は高まったと言えるでしょう。

【2】住宅資金贈与非課税制度、金額が大きくなる?!

 相続税対策が必要な場合、次にご紹介する贈与税の非課税制度も活用できます。住宅を購入する子や孫に住宅購入資金を贈与する時、一定額まで贈与税がかからない、というものです。
 通常、お金を贈与する際は110万円を超えると贈与税がかかります。しかし、子や孫が住宅購入するための資金を親(や祖父母)が贈与する場合には、下表にある一定額まで贈与税は課税されません。2016年中に消費税率8%が適用される住宅を建てる契約を行う場合は、1,200万円(良質な住宅の場合)まで贈与税が非課税になります(元々の110万円の非課税枠と合わせると1,310万円まで非課税になります)。

【住宅購入資t金贈与の非課税制度】
※消費税がかからない取引(中古住宅の個人間売買)も含む

 この制度を使えば、相続税対策が必要な親(や祖父母)は、贈与した金額分、相続財産を減らすことができるため、相続税を減らせます。お金をもらった子にとってみても、その分住宅ローンの負担を減らすことができるというメリットがあります。次の例では500万円の贈与を行う仮定ですが、住宅ローンの毎月返済額は約16,500円減少し、総返済額は約700万円減少しています。

【贈与税の非課税制度を使うメリット(4,000万円の住宅を建てる場合)】
※ローンは35年の元利均等返済、金利2%で試算

 この制度の非課税枠は消費税率が10%になると表にあるように大きくなります。2,000万円や3,000万円といった大きな金額の贈与を予定している方は消費税率が10%になるまで待った方がお得になる可能性もあります。しかし、そこまで大きな額の贈与を考えていない方であれば、消費税負担の少なくなる8%のうちに贈与を行い、家を建てておいた方が得になるでしょう。

【3】オリンピックでどうなる?今後の住宅価格動向

 最後に今後の住宅価格の動向についてまとめます。2020年の東京オリンピックに向けて東京の湾岸エリアを中心に不動産価格が上がっていく、というようなことが言われており、オリンピック関連の工事が増えると資材の値上がりや職人さんが不足することで住宅工事の価格も上がる可能性があるとも言われています。
 こうしたオリンピック関連の要因だけでなく、景気回復効果や、昨今の円安による海外投資家の不動産購入が増えていること、相続税対策としての不動産購入も増えていること、住宅ローンの低金利や各種住宅購入支援策の存在も不動産価格上昇の一因になっている可能性があります。

 今後、不動産価格や住宅価格がこのまま継続して上昇していくのか、予測は難しいですが、前回、前々回のコラムでも見たように今は住宅ローンの金利が低く、また各種住宅購入支援制度は消費税増税前後で比較しても増税前の方が有利であるものが多い、ということもわかりました。それらを踏まえて総合的に考えると、消費税率が8%の今というのは住宅の建て時と言えるのではないでしょうか。
 さあ、今から住宅展示場で家づくりをスタートさせましょう。

 

監修・情報提供:株式会社FPアルトゥル 代表取締役
ファイナンシャルプランナーCFP® 井上光章
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本記事はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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