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【第36回】どっちがいいの?建て替えか?リフォームか?賢い選択術

建て替えた方が良いかリフォームが良いか、迷っている方に、既存建物の状況、将来的な家族のライフプランや予算による判断方法をお伝えします。

【1】築年数から見極めるポイント

1 耐震力で考える

 リフォームによって外見が綺麗になっても、耐震上問題があってはいざという時に家族を守れません。まずは耐震診断を行って、耐震上問題が無ければリフォーム、問題があった場合は「耐震補強にかかる費用+その他のリフォーム費用」を試算して、「建て替えた場合の費用」とで比較してみましょう。

 耐震を確保する為に大掛かりな工事や費用がかかるようであれば、建て替えるという選択の方が費用対効果が期待できるかもしれません。

 【図表1】は、20項目の「耐震度チェックリスト」です。該当する項目の数が6項目以上の場合は、是非、耐震診断をやってみましょう

図表1
出典:ネクスト・アイズ(株)

2 老朽状況で考える

 築年数に関わらず、良い材料とすぐれた技術で建てられ、メンテナンスがしっかり為されてきた建物は、建物として特に問題が無い場合があります。逆に、雨漏りと白蟻の被害が生じている建物は、目に見えない重要な箇所に損傷が生じている事が考えられますので、修繕しても数年で症状が再発する事も考えられます。

 専門家による建物診断によって、建物全体の状況を把握し、問題点を解消する為にかかる費用と、建て替え費用とを比較して検討すると客観的な判断がしやすいでしょう。

【図表2】は、建物診断の際の代表的な建物の検査対象部分です。

図表2
出典:国土交通省 既存住宅インスペクション・ガイドラインより一部抜粋
(但し、中古住宅売買時の利用を前提とした、目視等を中心とする基礎的な指針)

【2】法規制から、できることできないことチェック

建物規模、形状の制限

 古くからの街並みに建つ築年数が経った建物は、建て替える場合に現在の法律の下では現状と同じ規模や形状の建物が建てられない場合があります。

 例えば前面道路の幅員が4メートルに満たない場合は【図表3】①のように道路後退が必要になり、建築対象にできる敷地面積が減ってしまいます。

図表3-1

 【図表3】②のように、高度地区や日影規制がある地区は、北側隣地に対して建物高さに制限を受けます。必要とする建物の面積や使い勝手を明確にし、ハウスメーカーの設計担当者等に、現状の法規制においてどのような建物が建てられるか、チェックしてもらいましょう。

図表3-2

 建て替えると、目的とする規模の建物が確保できない場合は、リフォームという選択で住宅の機能、性能を上げるという方法、或いは売却して別の不動産を取得するという方法も検討しましょう。

【3】家族のライフステージの変化で考える

 同居するご家族にシニア以降の方がいらっしゃる場合、終の住み家にされるか、ある程度介護が必要になった時には施設へ入所されるかといったライフプランによって、20年以上を見越した計画にするのか、数年単位の住まいと考えるか、視点が異なってきます。

 いずれ近い将来、お子さん達が継承する事になる住まいの場合、お子さんが自宅として自己使用するのか、賃貸する可能性があるのか、売却するのか、も親子で話し合っておく必要があります。

 賃貸や売却の場合は、基本的に借りる人や購入者が自らの嗜好でリフォームや建て替えをします。折角費やしたリフォームコストも、賃料や売却価格に反映しにくい結果になりがちですので注意が必要です。

 【図表4】の「ライフステージの変化に照らして我が家を考えるチェックリスト」で該当する項目をチェックしてみましょう。3項目以上に該当する場合は、リフォームした後でも結局建て替えに至るケースがあります。リフォームによる無用な支出をかけたり、まわり道にならないよう、先を見通した検討がお薦めです。

図表4

 以上のように、建て替えやリフォームを検討する際には、まずその目的を明確にして、面積等も含めて必要な項目を家族皆で話し合いましょう。

 そして、法律上、建て替えができない等の制約がないかをチェックしてもらう為に、住宅展示場を活用するのが早道です。住宅メーカーの担当者が専門知識に基づき検討してくれます。具体的に相談する中で、かけられる予算も具体的に想定しつつ、複数の視点から選択を進めてみましょう。

 

監修・情報提供:川道恵子(一級建築士・宅地建物取引士)
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本記事はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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