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【第49回】初心者向け!住宅の予算の決め方 教育費と両立させる住宅購入のポイント

住宅購入の際、多くの人が気になるのが教育費。住宅ローンを払って、子どもの教育費もきちんと払っていけるのだろうか、という不安を持っている人はとても多いです。今回は教育費と住宅費を両立させる考え方をご紹介します。

【1】子どもの教育費はどれくらいかかる?

 次の表は幼稚園から高校までの子ども一人に対する1年あたりの学費データです。学校に払うお金だけでなく、塾や習い事の費用も含めた値です。

【幼稚園から高校までの学費】

 高校まで公立を選ぶ場合には、子ども一人あたり年間20~50万円の負担になります。月換算すると2万円~4万円程度。全国平均のデータなので地域によってはもっと高くなる可能性もありますが、公立を選ぶ場合、高校までの教育費は日々の支出の中でやりくりできる範囲と言えるのではないでしょうか。

 ただし私立を選ぶ場合には年間100万円以上はかかってしまいますし、次の表にあるように大学進学には大きなお金が必要なので計画的な準備が必要です。

【大学の学費(自宅通学の場合と自宅外通学の場合)】
  • ※「自宅通学」の「次年度以降」は「学校教育費(授業料、その他学校教育費、通学費用)」、「家庭教育費」の合計額。
  • ※「自宅通学」の「初年度」は「次年度以降」の数値に入学時の「学校納付金」、「受験費用」、「入学しなかった学校への納付金」を足した金額。
  • ※「自宅外通学」の「次年度以降」は「自宅通学」の「次年度以降」の数値に「自宅外仕送り額平均」を足した金額。
  • ※「自宅外通学」の「初年度」は「次年度以降」の数値に「自宅外通学を始めるための費用」を足した金額。
    (日本政策金融公庫 教育費負担の実態調査結果 平成28年度を基に作成)

【2】教育資金、老後資金、どう準備する?

 上表でもわかるように、大学4年間で最低でも500万円程度は必要です。大学入学まで残り17年とすると月25,000円程度は積立を行う必要があります(月25,000円×12カ月×17カ月=510万)。

 老後資金については例えば30年間、毎月25,000円ずつ積立を行うと、25,000円×12カ月×30年=900万円貯めることができます。退職金の有無や子どもの進路への考え方、ライフプラン次第のところもありますが、住宅の予算を考える場合、子どもの大学費用のために一人あたり月25,000円程度、老後のために月20,000~30,000円程度は積立できるよう逆算して、住宅ローンの返済額を検討していく必要があると言えるでしょう。

【3】いくらの住宅が買える?資金計画術

 教育費や老後資金と住宅購入を両立させるためには、住宅購入前に教育費や老後資金も含めた資金計画をきちんと立てる必要があります。ここではその方法を2つご紹介します。

 1つ目は現在の住宅費と貯蓄に注目する方法です。住宅購入の前後で「住宅費+貯蓄」の合計額は変わらないだろうという前提に基づき、住宅ローンの毎月返済額を決める方法です。

 子どもが1人のAさん夫婦。現在の家賃や駐車場代等を合計すると98,000円でした(更新料を月額換算したものも含めています)。住宅購入のための積立を月額30,000円行い、教育費積立は月額15,000円、その他の貯蓄が月額25,000円できています。これらの住宅費と貯蓄の合計は168,000円となります。

 住宅購入後、住宅費と貯蓄の総額は変わらないと仮定します。固定資産税(10,000円と仮定)、住宅の修繕積立(15,000円と仮定)、教育費積立(25,000円と仮定)、老後資金等の積立(25,000円と仮定)を差し引くと、毎月の住宅ローン返済に充てられる金額は93,000円となります。金利1.12%(2017年4月のフラット35の最低金利)、35年返済(元利均等返済)であれば、3,230万円まで住宅ローンが組めるという計算です。

 この方法で住宅ローン返済額として使える金額を計算すると想像以上に小さくなってしまうこともあります。その場合見直しできる支出を探し、その分住宅ローン返済額にプラスしていくことで住宅の予算を増やしていくことができます。

 住宅予算と教育費や老後資金を両立させた資金計画を考える方法の2つ目は、将来の貯蓄額の推移をシミュレーションしていく方法です。次の表のように今後数十年のライフイベント、収入、支出を予想し表を作ります。各年の収支が予想できるので貯蓄額(表では下から2行目の「金融資産」)がどのように推移していくかがシミュレーションできます。

 収入や支出、ライフプランがこのシミュレーション通りになる可能性は低いのであくまで1つの試算として考えるべきですが、それでも何パターンかのシミュレーションを行うことで住宅にかけてよい予算がなんとなく見えてきます。例えば住宅の予算を4,000万円、4,500万円、5,000万円とした場合の3つ表を作り、それぞれの貯蓄額(金融資産の額)の今後40年の推移をグラフにしてみたのが次の図です。4,000万円~4,500万円くらいであれば老後の貯蓄で1,000万円を下回る時期がなく問題ないと言える一方、5,000万円の場合は老後の貯蓄が少なくなってしまうので少し危険かもしれない、と考えることができます。

 ここでは住宅購入資金と教育資金や老後資金とのバランスを取るための方法を2つご紹介しました。ご自身の場合に当てはめて考えてみてはいかがでしょうか。

 今後、住宅ローン商品の1つ「フラット35」を子育て世帯が利用する場合、当初5年間、金利の引下げを受けられる制度も始まる予定です。住宅購入時にはこうした住宅購入を支援する制度もうまく活用するとよいでしょう。

 

監修・情報提供:株式会社FPアルトゥル 代表取締役
ファイナンシャルプランナーCFP® 井上光章
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本記事はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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