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2018年11月 第20回 プライベートとレンタルを兼ねたコテージ・ハウス

最上部が二階建て施主の居住棟、下に賃貸の二層とエントランスがある。

斜面に立つ階段状の家

 スマトラ島、ジャワ島など有名な島を含め、大小一万もの島々が東西に細長く連なる東南アジアの国、インドネシア。日本で人気の観光地であるバリ島もインドネシアの一部であると言えば意外に思う人もいるかもしれない。首都ジャカルタはその島々の中でも大きいジャワ島にある。そこから約200キロ南東に、戦時中この辺りまでやってきた日本人が「インドネシアの軽井沢」と呼んだ標高700メートルの都市、バンドンがある。その郊外のシダダ地区は、近くにゴルフコースなどもあり観光で拓けたところだが、この家はその住宅密集地にある。

出展:google map

 傾きが約30度という決して緩やかとは言えない傾面、間口6.5メートル、奥行き25メートルというウナギの寝床のような傾いた敷地にこの家は立っている。高低差は10メートルもあり、一番下の階層と建物上階は前面に道路がある。建築物を建てるにはハンデが多い条件のもとで、この住宅はまるで白い崖がそびえるような、佇まいを見せている。

模型で見るとウナギの寝床のような敷地で、かなりの傾斜であることがわかる。
写真左:二つの空間をつなぐ階段。植栽のための空間となっている。
写真右:賃貸の二層の上の居住棟にはフラットな屋根が大きく張り出している。

 施主はこの特異な場所に少し複雑な空間の住宅を求めた。それはゲスト仕様の二つの空間と植栽のための空間、その上部に施主自身のために戸建てのような二層の棟を建てるという計画である。高低差の大きい斜面と家が密集した周辺環境という制約が逆に設計者にとっては刺激となったようだ。

 上部と下部をどう結びつけるのかを課題として考えた結果、スキップフロアのように階段式にテラスを置いた建物が構想された。植栽も効果的に活かされており、全体が素晴らしいハードスケープ(人工構築物による風景の造りこみ)として成功している。このテラスは屋根であると同時に、その上階の床として機能している。また、それぞれのフロアがプライベートなバルコニーとして使えるものでもある。

居住棟の下に賃貸空間が連なる

写真左:下から建物を見上げる。下2層を宿泊施設として貸している。
写真右:下から上がってすぐが賃貸部屋のテラス。

 施主がまず望んだのは休暇に使う「バケーション・コテージ」になる家だったが、それは上部の二層の建物として実現されている。下部の2階は、これも施主の要望を汲んで、下の前面道路から出入りする「ベッド・アンド・ブレックファスト」(朝食付きの簡易宿泊施設)として貸し出す空間として設えられている。

 このシダダ地区は観光地に近く、長期滞在者向けのレンタル別荘なども多く混在するエリアである。その地域の特徴を活かし、普通の個人住宅にはないオープンな雰囲気が感じられる部分を持った住宅となった。もし仮に傾斜地の四層の住宅として、ひとまとまりで設計すれば、お決まりのルールで設計され、内階段のためにスペースも取られ、下層はあまり使われない半端な空間になってしまう可能性があっただろう。そうするよりは、むしろプライベート棟と貸し間という明快に異なる二つの部分に分けることで空間は無駄なく活用されている。このレンタル空間を借りる人はモダンな空間に滞在して傾斜地なりの眺めの良さもメリットとして感じられる。

「おもてなし」のデザインがある住宅

写真左:内外が繋がるようなイメージで設計することによりで狭さを感じさせない。
写真右:居住棟の一階、階段下にキッチン。白がメインの内装。

 総床面積200平方メートルという、狭小住宅でもあるから、内部を都市環境から隔絶させるよりも、このように外部を取り込んで内外を繋がるようなイメージにした方が逆に狭さを意識させないのだと設計者は言う。階段状の複層で、建物が立て混んだ周辺の居住環境になじみ、バンダンのような過密都市がもつ迷路的な魅力を感じさせる。外部からも内部からも半屋外のようなしつらえになっていることがわかる。

 オープンテラスにはテーブルとイスを置いて通りに面しているのもちょっとしたカフェ気分である。その上の層は扉を観音開きにして変化をつけている。内部は天井や壁、造り付けの家具など白を基調とし、キッチン周りにも白いレンガを張っている。それとコントラストをなすように手すりや内階段のエッジには黒いスチールを使い、木の棚やベージュのソファを置いているのもモノクロマティックのカラー・スキームで抑えが効いている。

写真左:居住棟の一階は装飾ブロックとパーゴラ(日陰棚)が印象的。
写真右:二階の正面の居住棟の夜景。

 オーナーの居住棟の玄関には装飾ブロックをわざとランダムに張っている。上にはパーゴラ(日陰棚)があり、そこからはつる状の植物が垂れ下がり、二階の正面は水平のルーヴァー(格子)で覆われ、夜になれば行灯のように内部の光を優しく外にもれ出して温かみを感じさせてくれる。

 このようなハンデの多い敷地でも工夫次第で夢のある住宅は建てられる。また、家族が長期で海外へ行くことになったり、子ども達もいつかは巣立ち独立したり、空いた部屋は賃貸にもできるし、海外旅行者向けの民泊にすることがごく自然にありうる時代になった。未来の夢や計画を考えながら、住宅展示場で見学する際は、将来有効活用できる住宅についても相談してみると良いだろう。

Source: https://www.archdaily.com/903154/white-cliff-house-rdma?ad_medium=gallery
Architects: RDMA
Architect’s official site: http://www.rdmadesigns.com
Location: CIdadap, Indonesia
Area:212.0 m2
Project Year:2017
Photographs: Nilaiasia
Manufacturers: Toto
Japanese Original text: Masaaki Takahashi