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2017年1月 第9回 レンガと切妻が印象的なオランダの家

切妻屋根とレンガから一見してオーソドックスな住宅に見える。窓には枠はなく、洗練されたデザインを感じる。

可愛いレンガのオランダの家

 オランダの南部の北ブラバント州、ベルギーとの国境近くに位置する都市、ティルブルフ。人口は約20万、国内では第6位の規模で、1960年代までは羊毛の都市として知られていたが、現在は羊毛の代わりに多様な産業がある。この家は、そのティルブルフ近くの小さな村、リエルの新興住宅地にある。片側傾斜の印象的な切妻屋根と土地の職人によって手作りされたレンガと重い樫の木のドアを用いたシンプルで可愛い家だ。
 設計したのは、ティルブルフ在住の建築家、ヨーリス・ヴァーフーヴェン。伝統的なスタイルの住宅が多く立つ地域にちょっとした風変わりな印象を持つ建物を建てることを目指したという。

現代感覚と伝統様式を融合させる

建物側面。レンガ張りの部分にガラスのトップライトが並行しているので、採光がよく明るい。

 「施主のイェルン・クライネン氏は、この家を建てるのに色々と協力もしてくれました」と建築家は言う。「クライネン夫妻の要望はエキサイティングな家を設計して欲しいと言うもので、二人とも建築にとても興味があり、伝統的な建築が大好きですが、家をつくるなら、そのどこかしらに伝統から飛び抜けたような現代的でかっちりした素材も使って欲しいと言う要望を出してきました」。

側面から見ると全体にスクエアな感じに見え、正面で見る形とは違って見える。ドアは重厚なオーク材を使用している。

 こうして、まず大量生産の製品でなく地元の職人の手になる手製のレンガが選ばれた。この地方の伝統住宅や城は基本的にレンガ造りなのである。余談だが、オランダ出身で世界的にも広く知られ、日本でいくつかビルも設計している建築家ユニット「MVRDV」の作品として知られる農家風の事務所も同じ地方にある。ハンドメイドのレンガはメインの素材として、そこでも使われている。レンガ組みはがっしりした印象を与えるので、施主の意向にあっていると建築家は考えた。
 この住宅そのものは伝統性が薄く見えるかもしれない。切妻という典型的な家のスタイルをとってはいるが、その角度の傾斜や置きが左右非対称だからだ。これは地域の景観規制内でのギリギリの抵抗をしているのである。

美術館のパヴィリオンのような雰囲気

1階リビングの壁面の窓はスリットで採光を制限しつつ、外の風景を水平に長く切り取って見せる。
さらに、2階への階段は、上方のトップライトから自然光が差し込み、踏み面は木製なので温かみがある。

 窓はできるだけシンプル、そしてミニマムに設計された。窓枠は一切つけておらず、ガラスをはめた開口という感じだ。建物正面と背面にあるドアはオーク材でできており、大きくがっしりしたものでエントランスとしての存在感を放っている。この地方では、家の裏側に入口をもうけ、そこから出入りするのが慣習になっているという。それはローカルなホスピタリティのルールで、訪問者は、家の裏からいつでも自由に入って構わないということを示しているのだという。

1階はキッチンとダイニング、リビングルームがあり、2階にはベッドルームとバスルームがある。

リビングはダークな色のソファとカーペットをおき、ビビッドな赤のチェアがアクセントになっている。

 住宅内部においては、キッチンとダイニングルームを同じフロアのフロントに配する一方、リビングルームは背後のガーデンに開くような配置とされている。このような各スペースを仕切るように緩やか目の階段が置かれ、上下階の接続はスムーズである。また、トップライトがあることで、そこから差し込む光が階段を強調するようなしつらえとなっている。

2階浴室の窓も水平スリットがつづいている。内装は白を基調にしており明るくすっきりした印象である。

 二階は、やや小ぶりながら三つの寝室と浴室がある。各室はそれぞれのレベルでテラスに開いているのも心地よい。
 また、この家全体はドイツにある「インゼル・ホンブロイヒ美術館」にあるレンガ造のパヴィリオンにもインスパイアされたという。芸術と自然の融合をテーマとして謳った庭園のような美術館である。そこにあるパヴィリオンは、ポルトガルを代表する世界的建築家、アルヴァロ・シザとドイツの建築家、ルドルフ・フィンスター・ヴァルダーが設計した総レンガ張りの四角いシンプルなかたちだが、確かにその雰囲気にはこの家と共通したものがあるようだ。ガラスとレンガだけを外部に見せつつ温かみと信頼性を表現し、周囲の環境になじんでいるかように見える。
 レンガは雰囲気のある素材として人気がある。レンガそのものを組んで使うばかりでなく、レンガタイルや擬制のレンガのような軽い素材として建物の内外に張るようにして使うこともできる。暖炉や書斎にはぴったりの素材だろう。 住宅展示場にはレンガをうまく使った家、またそうしたオプションも可能なインテリアやエクステリアの家を見ることができる。ぜひ、会場で見てみたいものだ。

Riel Estate
location: Tilburg, Netherlands
Source:http://www.archdaily.com/800233/riel-estate-joris-verhoeven-architectuur
Architect:JOris Verhoeven Architectuur
http://www.jorisverhoeven.nl
Photographs:John van Groenedaal
Manufacturers:Pilkington, Reynaers Aluminium, Roma, Röben, Van der Sanden Group
Japanese original Text:Masaaki Takahashi