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住まいの知識世界のモダンハウス

世界各地の参考にしたい個人住宅を
順次紹介していきます。
住宅展示場で実物を
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あなたの家づくりのヒントにしてください。

2017年7月 第13回 パーゴラのような家

白い箱の集合に木製の窓枠やドアの茶色がコントラストをなす。ゴルフカートのためのスペースがある一階。

スペイン保養地の隠れ家

 スペイン北部、カタルーニャ地方。バルセロナから電車で約一時間、フランスとの国境近くにある都市、ジローナ。中世の面影を色濃く残す古くからの街である。サッカーファンにはジローナFCで知られているかもしれない。そのジローナからさらに列車で十数分の町、カルデス・デ・マラベーリャにこの家はある。ヨーロッパでは有名なミネラルウォーターと同じ源泉を使った温泉とローマ浴場で知られる緑に恵まれた保養地である。 今回紹介する家は竣工2017年の2月、カタルーニャのゴルフリゾート計画の開発の一端としてプロウス・アーキテクツという設計事務所によって建てられた。いくつかある区画の中の第1号で、今後、ここには複数棟の住宅が建てられる予定である。
 繁華街の雑踏と喧騒からはるか遠く離れ、美しくのどかな自然環境に囲まれている。場所柄、地中海のライフスタイルを思わせる白い瀟洒(しょうしゃ)な家でありながら、最大限の快適さとプライバシーを確保することを目指して設計された。

出展:google map

地元の風景と素材を活かす

水平線と垂直線が程よく混合したメリハリのあるリビング・エリア。ガラス開口に囲まれて開放的。

 近くには壮大なゴルフコースもある静かな場所で、土地固有の植生を大切にし、豊かなグリーンの環境は土地の気候風土にしっかりと馴染んで印象的である。

平面図

まるでパーゴラ(日陰棚)を住宅に拡大したような快適な空間で、陽の光が美しく内部を照らす。

 建物は二つの細長い直方体を平行させた形で、この二つをガラス張りの前庭で繋げた構成である。平面で見るとややL字にも近く、中央がパティオ(中庭)をなしており、これが周囲の外部環境を建物の内側へと取り込むようなしつらえである。
 メインのエントランスから入ると、木材や石材などほとんどすべての素材がこの地元産のローカル・マテリアルである。白い壁は、単なる空白のブランクを意味するのではなく、土地の人々にとっては温かみと優しさを感じさせるものなのだ。まるでパーゴラ(日陰棚)を住宅に拡大したような快適な空間である。周囲のランドスケープを借景とし、時間ごとに変化する陽の光が家の内部に様々な光と影の振る舞いを演出してくれる。

主寝室。大きくとった開口が心地良い。木のサッシ、ベッド、チェア、フローリングで温かみがある。

 この家は320平米、地上2階・地下1階の三層のレベルからなるが、地下階は、ガレージ、ランドリー(洗濯室)、倉庫、機械室などの機能的部分をすべて集約している。地上階は、マスター・ベッドルームとリビング、ダイニング、キッチンをまとめており、壁に収納できて庭やプールにもアクセスしやすいスライディング式の窓を活かしている。自然光は大きな開口からたっぷりと射している。2階は三室あり、近くの整備されたゴルフコースがパノラマのように展望されて快適である。

地中海的な光の饗宴

 これまでにも述べたように、この家にとって光は重要な要素であり、それこそまさに地中海的な暮らしを具現化していると言える。地中海世界といえば、光と影の明快さが知られるが、この家では、ダイレクトな光、反射する光、木漏れ日のように隙間から抜ける光、そして様々なフィルターをかけられた光など様々な光を感じることができる。そうした光の性質と外部と内部の関係を考えて各エリアにふさわしい空間づくりがなされている。

白と黒のモノトーンでシックなキッチンまわり。
左のカウンターは調理だけでなく食事をするのにも使える。

キッチン横の階段と脇の格子、また床が木製で心地よい。
主張の少ない細いスツールを当てている。

 モダン住宅ながら外部に対して閉鎖的でなく、前庭があるので、これで外部と内部をスムーズに融合させている。内部では、壁もレンガ部分も一様に白く塗装されており、素材感がはっきりと表面に出過ぎないようにしている。
 これとは対照的に、木の部分は、ウォルナットの色の濃いものと薄いものを並行して用い、フレーム、手すり、ルーヴァー(横格子)といった木工部分のディティールが美しく浮かんでくる。とりわけリビング兼ダイニングのエリアでは白い壁とダークブラウンのフレームの四角形の重なり、さらに横ルーヴァーの平行線の反復があいまって抽象画を見るようなメリハリ感のある空間となっている。また、遠景として建物全体を離れて見た時も、シンプルな白地の箱の集積にブラウンの枠取りが各面でのアクセントとなって、引き締まった感じを与える。

プール側から見た建物は、縦ルーヴァーでパーゴラを
住宅にしたように見え、プールに反映して美しい。

二階からリビング・エリアを見下ろす。
家具やラグは、ミッドセンチュリー風のスタンダードで統一している。

 建物の外部環境全体については目を広げれば、プールや庭にもパーゴラ的な仕様がよく調和して非常に魅力的である。
 家具やキッチン・シンクや棚などの設備は水平ラインの強いものやスクエアなものが選ばれている。リビングでは薪ストーブの煙突が二層吹き抜けの高い天井に向けて高く伸びている。ストーブの板が棚のように伸びて飾り棚になっているのも面白い。寛ぐエリアでの家具はモノクロームのミッドセンチュリー風で統一され、ただ一つの真っ赤なサイドテーブルがアクセントになっている。

ダイニング・エリアは、窓の横型ルーヴァーから差し込む光と
二階と階段手すりの縦ルーヴァーが好対照。

 ダイニング・エリアでは、2階と階段周りの縦のルーヴァーが印象的で、ここに横ルーヴァーからの入る光の水平ラインが交差するのも一興だ。
 都会にいながらリゾート気分を感じられる住宅、というのも人気のデザイン志向のひとつ。採光の仕方、壁やクロスの色や柄、庭の上手な取り入れ方や外部との融合の工夫ひとつで、ガラリと気分を変えることができる。そうしたしつらえをするには、どのような家にしていくかという基本をモデルハウスで確かめることがヒントになる。また、自分の趣向のサンプルを調べることができる。
 まずは、住宅展示場に足を運んでみよう。

Showvila La Pineda
Location: Caldes de Malavella, Provincia de Girona, Spain
Source: http://www.archdaily.com/872180/showvila-la-pineda-jaime-prous-architects
Architects Jaime Proud Architects
http://www.jprousarchitects.com
Photographs:Roger Casas
Japanese original Text: Masaaki Takahasi

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