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2018年1月 第15回 庭との繋がりを考えたキューブの家

庭側から見ると四角い窓のあるシンプルな白い家。テラスと奥のキッチン、ダイニングは連続しても使える。

子供のための庭のある家

イスラエルといえば中東の国、しかも長年にわたる中東紛争の渦中にあるというイメージを持つ人もいるかもしれない。しかし、イスラエルには聖書に重なる歴史的な聖地や観光名所も数多い美しい国で、世界各地の観光客が訪れている。現在の首都はテルアビブ。高層ビルやおしゃれな店も立ち並ぶ都会だが、テルアビブは一つの大きな地区の名前でもある。今回紹介する住宅は、このテルアビブ地区の北東にあるラマト・ハシャロンという街にある。ビーチやテルアビブ大学に付属したディアスポラ博物館などの観光名所があり、また国際的なテニスの試合が開催されるところとしても知られている。
 緑の木々も多く、赤い屋根が印象的な家々が立ち並ぶ静かな住宅街にこの家はある。夫婦と子供四人という家族のための戸建て。地階と地上二階で、隣接する家とは境界壁を共有している。占有面積こそ小さいが広い庭があり、そこでは子供たちが遊べるような家を施主は望んだ。

出展:google map

内部の個室をうまく分割

内部空間は個々の部屋の機能に合わせて分けられている。

 敷地は縦に細長い形状であり、前面と後ろ側とでは高低差が少しばかりある、傾斜した土地である。そのため、設計者は、敷地を最大限に活用しつつも、いくつかのハンデとなるような課題を解決する必要があったと言う。そのため建物のボリュームを分割しつつ、ゆとりを保つような構成が目指された。

 そこで取られた手法とは、全体の空間を一連のキューブの集合部分と庭とで二つに分割することである。これによって、内部にはより光が入りやすくなり、ファサードが全面に出て、重たい印象を与えないようにしていると建築家は言う。
結果的に内部空間は、四角いキューブに分割され、それが個々の部屋の機能に合わせてさらに分かれている。

二階のマスターバスルーム。大理石の壁面がスタイリッシュでクリーンな印象を与える。二基ある洗面台も機能的だ。

二階の子供部屋。黒い枠取りをした窓は高さを変えているので、単調さを回避。家具は白でまとめている。

 二階は、主寝室と子供たちの部屋を結び、その間にバスルームを挟み、しかも子供部屋の入り口を三箇所に集約している。船で言うならブリッジのようなまとまりになっているので、主寝室のプライバシーをうまく守ることができる。

内部と庭は一体感があるように設計。隣接する家の間に小さなパティオ(中庭)があり、くつろぎの場に。

 もう一つ建築家が注意したのは、内部と庭が一体感があるように設計したことで、これにより各室の個性が出るようになっている。「庭というのは、庭に関わる様々なことをするためだけのスペースでなく、家というキャラクターの振る舞いを受けとめる空間でもある」と言う。
 庭には、小さなパティオ(中庭)がある。この空間は、コーヒーを飲んだり、ティーパーティをしたり、本を読んだりするくつろぎの場として組み込まれているのが心地よい。

無駄なく機能を集約したレイアウト

キッチン側からダイニング越しに庭を見る。
庭の奥には段々のテラスを設けており、そこから眺めを楽しむ。

庭奥の段々テラスから家全体を見る。
自然に恵まれた環境にやや控えめな白い家が引き立って見える。

 家の背後の庭は三つのエリアに分けることができ、屋外サロン、また室内のサロンと連携することもできる。全て開放すれば、アウトドア感満載のダイニングとキッチンにすることができ、ゲストをもてなすには最適だろう。庭奥の段々のテラスからは家と庭がよく見える。

ダイニングとキッチン。
モノトーンの色づかいは無駄がなく綺麗にまとまっている。

二階から一階を振り返る。ここでも階段は白で覆われており、打ち放しコンクリート壁とコントラストをなす。

 素材としては、白い石壁と打ち放しコンクリート、黒いアルミニウム、オーク材、自然石、これらのシンプルな素材を手際よく組み合わせ抑制されて品がある。素材使いの絶妙さは家のあちこちで垣間見ることができ、それぞれの部屋に応じて組み合わせをうまく工夫している。
 白いレンダー(漆喰の一種)を使っているのは、この地方の天候上に必要不可欠だからである。なんといっても、この土地では365日、日差しが強めなのだ。厳しい環境による不必要な熱や太陽光によるダメージを避けるために、素材の選択と配合には細心の注意が払われている。

大きな開口で周辺の木々の眺めを楽しみつつ、ルーヴァーを使い、厳しい太陽光から守られるような、しつらえになっている。

 外部に対してはルーヴァーを使い、北面には大きな開口をとって、周囲の木々の眺めを楽しみつつ、厳しい太陽光から、守られるようなしつらえだ。

モノトーンの色と素材がマッチした内部

ダイニングのテーブルから見た階段は側面を白いカバーで覆われ、
Zの文字のような大胆さがダイナミック。

キッチンから階段側を見る。ウォールウォッシャー照明がコンクリート壁のアクセントとなっている。

 インテリアを見ると、キュービックな内部空間の家が陥りがちな単調さをうまく処理している。階段を単純に晒すことを避け、その側面を覆ってフラットにしているのが白いグラフィックのようにダイナミックに見せ、ダイニングのコンクリート壁面を前にして明快な表現をしている。この階段は二階から見ても、カバーがされているためにかっちりと安定して見える。また、家具は白、グレー、黒、ブラウンで統一している。照明も球形か埋め込み、あるいは小さなウォールウォッシャーだけで控えめにしている。

日差しは強い地方なので、方角によっては窓を大きくは取れないが、窓の配置には多少の遊びを感じさせる。

 建物側面の窓は、4種類あり、どこかで一辺を揃えているので、ランダム過ぎずに整然としている。これが内部では各室ごとの窓の違いになっている。窓の位置にも住む人の暮らしや個性や趣向が伺える。常識だけにとらわれず、敷地の環境や天候など、希望の条件を考えて、住宅展示場の家々の窓がどうなっているのか、庭との関係性などをふまえて見ておくのも面白い。

N House
Location: Ramat Hasharon, Israel
Source: https://www.archdaily.com/884051/n-house-dzl-architectshome-lynk-architect
Architect :DZL Architects
http://www.dzl-architects.com
Photographs: Tal Nisim
Japanese original Text:Masaaki Takahashi