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【第124回】新築で地震や災害に強い家を建てるために必要なこととは?既存住宅の耐震改修についても解説

能登半島地震や東日本大震災、熊本地震などの大きな震災が相次ぎ、住まいの耐震性への関心が高まっています。大きな地震が多発する日本では「地震に強い家」であることは、新しく家を建てる際に、重要な要素のひとつとなってくるでしょう。この記事では、地震に強い家の特徴を詳しく解説するとともに、地震に強い家を建てるときの注意点なども具体的に見ていきます。最後まで読むことで、耐震性に優れた家とはどのようなものかを、総合的に把握できるようになります。



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そもそも地震に強い家とは


日本は地震大国と言われており、生活を守るために地震に強い家を建てる基準が設けられています。地震に強い家を考えるポイントとして、地震対策と耐震等級の2つがあります。それぞれについて概要を説明していきますので参考にしてください。

地震対策 ー 大きな地震が来ても耐えられる家

地震に強い家とは、大きな地震が来ても耐えられる家のことを指します。実際の地震に強いという基準はハウスメーカーによって異なりますが、地震で倒壊しない家、壁にヒビが入らない家、基礎が欠けない家、床が傾かない家などメーカーによってさまざまです。

耐震等級 ー 建築基準法で定められている耐震基準

家を建てる際、阪神淡路大震災レベルの大地震に耐えられる強固な家を建てなくてはならないという住宅の品質確保の促進などに関する法律があります。耐震等級は1~3級の3段階に分かれており、数字が大きくなるにつれてより強度が高いことを表します。

耐震等級1級 建築基準法によって定められた耐震基準を満たす最低限の耐震性能
耐震等級2級 耐震等級1級の1.25倍相当の耐震強度
耐震等級3級 耐震等級1級の1.5倍相当の耐震強度

地震に強い家の特徴


地震に強い家は耐震基準を満たしていることが大前提ですが、耐震等級の違いによって強度の高さが変わってきます。さらに地震に強い家には物理的な4つの特徴があります。

建物の形や構造がシンプル

基本的に地震に強い家は正方形に近い形のシンプルな構造です。正方形は同じ面積の面で支え合うため、力が分散されやすく倒壊しにくくなるのです。家の形が複雑になればなるほど、地震のエネルギーを受けやすくなるため、L字やコの字、1階部分の一部がカーポートになっていて壁がないといった形状の場合は倒壊リスクが高くなります。耐震基準を満たし同じ耐震等級だとしても、建物の形によって倒壊リスクは変わるので注意しましょう。

建物の高さが低い

ビルなどのように、背の高い建物で地震を受けると、上の階ほど揺れが大きくなります。一般の住宅でも同じで、2階建てよりも3階建ての方が揺れの影響を受けやすくなっています。できるだけ高さが低い方が揺れにくいため、住宅においては平屋が地震に強いと言えます。ただし、地盤や建物の構造によって強度が変わるため、高さだけで判断することはできませんので注意が必要です。

量が小さい

地震のエネルギーは、家の質量に比例して伝わります。つまり家の質量が小さいほど、揺れが小さくなり、地震に強いと言うことができるのです。建物の質量は、使われている建材によって変化します。鉄骨やコンクリート造は重く、木造が最も軽いため、質量だけで考えると、木造建築が地震に強いと言えるのです。ただし、質量が小さくても地盤が緩かったり形が複雑だったりすると、地震に弱くなります。

地盤が強い

地盤の強さはとても重要です。地盤の強い土地に家を建てれば、地震に強い家ができます。反対に、地盤が緩い土地に家を建てれば、地震が起きた時に家を支えきれず倒壊したり沈下したりする恐れがあるため、地震に強い家づくりは、土地探しから始まっていると言っても過言ではありません。なるべく最初から地盤の強い土地を選ぶことで、余計な費用をかけずに地震に強い家を建てることができます。

地震に強い家の代表的な工法


住宅は木造、鉄筋コンクリート(RC)、鉄骨など、さまざまな構造で建てられています。そして、それぞれの構造に合った地震に強い工法があります。ここでは代表的な地震に強い家の工法を解説します。

木造軸組工法

日本で古くから使われている工法で、現在でも主流となっている工法です。柱を立てて梁を通して組み立てていきます。増築やリフォームの自由度は高い反面、柱のない広い空間を作ることは難しい場合もあります。

ツーバイフォー(2x4)工法

日本の住宅は8割以上が木造住宅です。木造住宅は日本の風土に合っていますが、他と比較すると、耐震性は低い傾向にあります。2×4は「木造枠組壁工法」とも呼ばれ、1990年代にアメリカから輸入された工法です。2インチ×4インチの木材と合板で組み立てていき、壁、床、天井を一体化させるため耐震性が優れています。(1インチ=2.54センチメートル) 2x4は工期が短く抑えられる反面、間取りやリノベーションの自由度が他の工法よりも限定される場合もあります。

ラーメン工法

鉄筋コンクリートや鉄骨の構造を木造で行うのがラーメン工法です。ラーメンとは食べ物ではなく、ドイツ語で「額縁」を意味します。柱と梁の接合部分を溶接などで固定して強靭な枠を作って建てる工法のため、広い空間を確保でき、デザインの自由度は高くなる傾向があります。

RC工法

RC工法は、地震の揺れを感じやすいものの、強度が高く倒壊しにくい鉄筋コンクリート住宅です。耐用年数も長いですが、建物が重いので強固な地盤が必要となります。また、地震に対する強度は高いですが、工事費も高くなる傾向があります。

鉄骨プレハブ工法

「プレハブ工法」とは、建物の材料を工場で造り、建築現場で組み立てる工法を指します。「pure(事前に)fabrication(作る)」に由来していて、プレファブ工法、プレファブリケーションとも呼ばれています。工場生産で建築過程のほとんどをシステム化しているため、職人の技術・熟練度による影響が小さく、品質が安定しており、工期が短くなるというメリットがあります。

その他の工法や詳しくはこちら

より地震に強くなる3つの耐震構造


「耐震・制震・免震」といった耐震構造を取り入れることで、より地震に強い家を建てることができます。
また、部分的に補強することも出来るため、現在住んでいる家などの既存住宅に取り入れることも可能です。

耐震

耐震とは建物自体の強度によって、地震の揺れに耐えることです。耐震性を高めることで、地震による破損や倒壊を防ぎます。つまり耐震工事とは、建物の強度を上げる工事です。耐震性は壁の強さで左右されるため、耐震壁を導入して補強します。耐震壁は既存の住宅にも施工しやすく、コストを安く抑えられるため、導入しやすい地震対策です。しかし、耐震には地震によるダメージを蓄積するというデメリットがあります。頻繁に地震を受け止めていると、ダメージが蓄積され倒壊のリスクが高まっていくため注意が必要です。

制震

制震とは、揺れを吸収し抑制することです。建物に組み込んだ制震装置が揺れを受け止めてくれるため、建物へのダメージを抑えることができます。揺れが強くなりやすい高さのある建物にも有効です。耐震とはちがって、頻繁な地震によるダメージの蓄積を深く心配することはありません。しかし、制震装置を導入するために建物の間取りや構造が制限されることがあります。また、耐震工事よりもコストが高くなってしまう点もデメリットです。

免震

免震とは、建物と地盤を切り離すことで、建物に揺れを伝えないようにすることを指します。基礎部分に免震装置を設置することで、地盤から揺れが建物に伝わるのを抑制するのです。ただし、免震装置を設置するには、建物の基礎部分に手を加えねばならないので、施工コストがかかってしまいます。また、建物と地盤が離れている構造上、強風などによって揺れることが増える点もデメリットです。

耐震診断が必要な住宅は?

以下の住宅等に関しては、耐震診断・耐震改修が推奨される住宅となります。

Ⅰ.比較的古い住宅・・・耐震基準は、時代ごとにその基準が変わり、①1981年6月以前の「旧耐震基準」、②それ以降は「新耐震基準」となりました。それぞれの耐震基準は
①旧耐震基準:中規模の地震動(震度5強程度)でほとんど損傷しない
②新耐震基準:大規模の地震動(震度6強~7)で倒壊・崩壊しない。
となっているため、1981年6月以前の住宅は能登地震のような大地震に備えて改修が必要とされます。

また、老朽化が著しい住宅も必要です。

Ⅱ.バランスの悪い住宅 大きな吹抜がある住宅・壁・窓の配置が偏った住宅は、窓のような開口部や大きな空間などが耐震性に影響を与える恐れがあるため、耐震診断等が推奨されます。

詳細はこちらをご確認ください。

まとめ

地震に強い家を見学したいなら住宅展示場へ

地震に強い家や災害に強い家を建てたいなら、住宅展示場で直接どのような構造や工法を使っているのか住宅会社の担当者に聞いてみるのが良いでしょう。住宅展示場では、その土地に合わせた地震などの防災対策もしっかり行った家を展示しています。
まずは気軽に「家サイト」を活用して、家づくりについて情報収集をしてみるのもおすすめです。さらに住宅展示場では、家づくりのご要望や予算から、最適な住宅会社を探すこともできます。

 

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監修・情報提供:福本 剛志 (設計事務所 アクア株式会社/二級建築士)
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本記事はTrail(株)が記事提供しています。
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