【第153回】ペットと暮らす家のつくり方|工夫ポイントや間取りのアイデアを紹介
2025.04.28
愛するペットに快適な住環境を整えることは、飼い主として大切な責任です。しかし、ペットと暮らす家づくりにあたって、間取りで気をつけたいポイントがわからない方は多いでしょう。
本記事では、犬や猫の好きなこと・苦手なことに触れつつ、ペットと暮らす家における注意や工夫、間取りのアイデアを紹介します。人もペットも快適に暮らせる家づくりに向けて、ぜひお役立てください。

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ペットの好きなこと・苦手なこと

以下ではペットの好きなこと・苦手なことについて、代表的なペットである犬と猫を挙げて解説します。それぞれの動物としての特性を理解しておけば、ペットと暮らす家をスムーズに整えられるでしょう。
好きなこと
ペットにとって居心地がよい環境を整えるには、好きなことを把握することが大切です。以下では犬や猫の好きなことを解説します。
犬
まず、犬の好きなことは運動です。体を動かすと五感が刺激され、ストレス発散になると同時に肥満防止にも役立ちます。また、犬は祖先が穴ぐらで暮らしていた名残から、家具の隙間などの狭くて暗い場所で過ごすことも好みます。
さらに、窓から外の景色や通りすがりの人を観察することも、犬の楽しみの一つです。
猫
猫は狩猟時代の名残で、高い場所と狭い場所を好みます。猫にとって高い場所は、獲物を見つけやすいと同時に外敵から身を守りやすい場所です。また、狭い場所は、捕まえた獲物を逃がしにくい場所として認識する傾向があります。
さらに、祖先が半砂漠地帯で生活していたことから、日差しが当たる温かい場所も猫にとって居心地のよい場所といえます。
苦手なこと
ペットにとって居心地がよい環境を整えるには、ペットが苦手なことを理解して対策することも大切です。以下では、犬や猫の苦手なことを解説します。
犬
犬は寂しがり屋です。一匹で過ごす時間が長いと不安を感じて、吠えたり物を壊したりといった行動を取る場合もあります。
また、全身から汗をかけない犬は暑さに弱いため注意が必要です。犬は口から舌を出して呼吸を速める方法で熱を放出しますが、この方法は人間の発汗ほど効率的ではないため、熱中症になるケースも少なくありません。
猫
猫が頻繁に毛づくろいをするのは、自分のニオイを消して獲物や天敵から身を守るための本能的な行動です。不潔な環境を嫌い、病気の予防のため行うという側面もあります。
また、猫は自分のテリトリーも大切にし、侵入されるとストレスを感じます。常にほかの動物と一緒にいる環境では、自分のペースで行動できません。生活リズムが乱されることで、不安や落ち着きのなさを感じるようになります。
ペットと暮らす家で重要なポイント

ここからは、ペットと暮らす家づくりを検討するために重要なポイントを紹介します。大切なペットがケガや病気になったり、ストレスを抱えたりしないためには、適切な環境づくりが欠かせません。同時に、消臭対策など人間にとって快適な住まいであるかどうかもポイントです。
ペットが食べてはいけない植物を置かない
犬や猫の健康を守るために注意したいのが、植物の存在です。ユーカリやスズラン、ポインセチア、ユリなど、ペットが口にすると炎症や命の危険をもたらす植物が数多くあります。
観葉植物を置いたりガーデニングを楽しんだりする際は、配置場所に細心の注意を払いましょう。
浴室の扉を閉める
ペットの事故防止のために、浴室の扉を閉めておくことが大切です。ペットが湯の入った浴槽に落ちると溺れる危険があるほか、シャンプーやボディーソープなどの誤飲も心配です。浴室の扉と浴槽のフタを閉め、濡れた床は拭いておくことでペットの安全を守れます。
滑りにくい床材を選ぶ
一般的なフローリングは見た目が美しい反面、ペットにとっては滑りやすく足腰の負担になりやすいものです。滑り止め加工が施されたフローリングを選んだり、ペットの動線を考慮して一部カーペットやマットを敷いたりすると、快適に動き回れます。
消臭効果のある内装材を選ぶ
掃除を欠かさなくても、ペット特有のニオイが気になる場合があります。特に、ペットが長時間過ごすスペースやトイレ周辺に、漆喰や珪藻土、ゼオライトのような消臭機能がある内装材を取り入れると、快適な空間を維持できます。
留守中の対策をする
飼い主が不在の間も、ペットが安全に過ごせる環境整備が欠かせません。粗相があっても簡単に掃除できるように拭きやすい床材を選んだり、滑り止めシートを敷いたりするとよいでしょう。また、季節に応じた温度管理や、見守りカメラの設置も留守中のペットを守ります。
落下・いたずら防止をする
ペットと快適に暮らすには、落下・いたずら防止対策も必要です。特に、高所を好む猫は、棚や家具の上を移動する際に落下のリスクがあります。
キッチンなど危険が多いエリアについても、ペットゲートを設置して侵入を防止したり、引き出しなど隠すタイプの収納を活用したりすると、不慮の事故を防げます。
ペットと暮らす家で採用したい間取りアイデア

ここからは、ペットと暮らす家で取り入れたい間取りアイデアを紹介します。家づくりの段階からペットのための間取りを考慮すれば、後から家具を買い足したりDIYで対応したりするよりも、効率的に理想の暮らしを整えられます。犬や猫の特性に配慮して、間取りを決めましょう。
ドッグランスペース
ドッグランスペースは、庭や屋上を活用した愛犬の遊び場です。天候や家族の都合で散歩に行けない日でも、ドッグランで遊ばせると運動不足やストレスを解消できます。
ドッグランスペースを設置する際は、犬が脱走しないよう適切な高さと強度を備えたフェンスが不可欠です。また、地面は犬の足腰に負担をかけず、排泄物や汚れを処理しやすい素材を選びましょう。
キャットタワー・キャットウォーク
高い場所が好きな猫におすすめなのが、キャットタワーやキャットウォークです。キャットタワーは床に置き、キャットウォークは柱や壁などに直接取り付けます。 いずれも猫の運動不足解消やストレス発散に役立ち、リラックススペースとしても機能します。
設置する際は落下のリスクを防ぐために、十分な強度と幅の確保や、滑り止めシートの活用などを検討しましょう。
玄関横の足洗い場
足洗い場は、屋外から帰った犬の足を洗うための水道設備を備えたスペースのことです。足洗い場があると、泥や砂などの汚れを室内に持ち込まずに済み、掃除の手間を大幅に削減できます。
足を洗ってからすぐに犬を室内に入れられるように、玄関横やウッドデッキの付近など、入口から近い場所に設置しましょう。
土間収納・土間スペース
ペットと暮らす家には、玄関付近に汚れを気にせず使える土間スペースがあると便利です。土間に収納を設けて散歩グッズを収納しておくと、お出かけ前後の準備や片付けがスムーズです。また、夏場は床がひんやりしているため、ペットの涼み場としても活躍します。
設計時には、ほかの部屋との間に大きな段差をつくらないよう注意が必要です。段差が生じる場合は、なだらかなスロープで空間をつなぎましょう。
見晴らし窓
ペットの身長に合わせた高さと、十分な視界を確保できるサイズの窓を見晴らし窓と呼びます。見晴らし窓を設置すると、ペットは外の景観を楽しめます。窓から差し込む温かい光はペットにとって心地よく、窓を少し開ければ新鮮な空気も取り入れられます。
室内上部に見晴らし窓を設置する場合は、網戸や柵などの落下防止対策を忘れずに行い、安全性を確保しましょう。
爪とぎ場
猫との暮らしに欠かせないのが爪とぎ場です。柱を麻縄で巻いたり、壁の一部に爪とぎ用パネルを設置したりすることで、家具や壁の破損を防げます。爪とぎ場の設置場所におすすめなのは、猫の通り道やくつろぎやすい場所の近くです。
猫は本能的に爪とぎをする生き物であるため、爪とぎを叱るのではなく、専用の爪とぎ場をあらかじめ用意しましょう。
ペットドア
ペット専用の小さなペットドアは、ドアの開閉音を気にせず自由に行き来できる便利な設備です。部屋の壁や人用ドアの下部に設置することで、ペットがストレスなく家中を移動できます。
ペットドアは、ペットの体格に合ったサイズ選びが重要です。また、キッチンのような立ち入らせたくない部屋にはペットドアの設置を避けるなど、安全面を考慮して計画しましょう。
ペットフェンス
ペットフェンスは、浴室やキッチンといった危険な場所へのペットの侵入を阻む設備です。ペットフェンスを設置しておくと、留守中でもペットを危険から守れます。
ペットフェンスを設置する際は、ペットが力をかけても開かないよう、内開きや引き戸タイプを選ぶことがポイントです。また、人の出入りが頻繁な場所には片手で簡単に開閉できるゲート式を採用すると、日常生活での使い勝手が大幅に向上します。
ペットのプライベート空間
「自分だけの場所」があると、ペットはより安心して暮らせます。犬の場合は階段下のスペースや専用のハウス、猫であればキャットタワーの最上段や窓辺の高い棚など、ペットの習性に合わせた居場所づくりを心がけましょう。
なお、ペットがプライベート空間にいるときは、むやみに干渉せず尊重する姿勢も大切です。
室内の回遊動線
ペットドアや猫用のキャットウォークを計画的に配置すると、ペット専用の室内の回遊動線をつくれます。回遊動線を設計すると、ペットの運動量を増やせます。
回遊動線の設計時は、障害物を取り除き滑りにくい床材を選ぶことで安全性を高めましょう。また、キッチンのような危険な場所は回避しつつ、窓辺など日当たりのよいスポットを通るよう工夫すると、ペットがストレスなく使える動線となります。
まとめ
ペットも人も快適に過ごせる住空間を実現しよう

ペットと暮らす家をつくるには、家づくりの段階から綿密な計画が必要です。犬や猫をはじめとする動物の習性を理解して、安全で気持ちよく暮らせる間取りを整えましょう。
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監修・情報提供:福本 剛志 (設計事務所 アクア株式会社/二級建築士)
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