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【第58回】固定資産税や不動産取得税の減額延長へ 2018年税制改正のポイント

 2017年の年末に発表された税制改正大綱。給与所得控除などの見直しはニュースで見聞きした方もいらっしゃるかもしれません。住宅購入関連では大きな改正点はなく、既にある減税措置についてその期限を延長するものが多くありました。今回のコラムでは、2018年の税制改正のポイントについてご紹介します。

【1】2018年の税制改正の概要

 今回の税制改正での住宅購入関連のポイントをまとめると以下のようになります。

 大きな改正点はなく、既にある特例の延長がほとんどです。これらのうち小規模宅地の特例の見直し、固定資産税や不動産取得税の特例等についてはこの後まとめます。
 自宅を買換えた場合や譲渡した場合には特例があり、その期限も延長されます。例えば、①買換えの際、旧住宅の売却で発生した利益への課税を先延ばしする特例(特定居住用財産の買換え特例)や、②買換え時に売却損が出た場合に他の所得との相殺や翌年以降への繰越しができる特例(居住用財産の買換えの損失特例)、③自宅の売却で生じた損失について、売却額が住宅ローン残高を下回る等の場合に他の所得と相殺・繰越ができる特例(特定居住用財産の損失特例)です。これらの特例の期限は2017年12月31日まででしたが、2年間延長される予定です。

【2】小規模宅地の特例の変更点

 今回の改正では相続税の小規模宅地の特例を利用するための条件に変更がありました。小規模宅地の特例というのは、自宅が建っている土地については、相続税計算上の評価額を、330㎡までは80%減できるという制度です。例えば本来の評価額が5,000万円の土地であっても、それが自宅の建つ土地であれば相続税の計算上は80%減でき1,000万円となり相続税の負担は小さくなります。この小規模宅地の特例を利用するには以下の条件のいずれかを満たす必要があります。

 ここで親の住宅とは別の土地を購入してそこに子が住宅を建てる場合を考えてみましょう(親と子は生計を一にしていないとします)。子が「親の住宅のある土地」を相続したとしても、上に掲げた①~④のいずれにも該当しません。つまりこの特例は受けられないということになります。

 ただし、子が建てた住宅に子が住まない状態(人に貸す等)に3年以上しておけば③に該当することになります。今回の税制改正ではこの③について利用条件を厳格化する狙いがあります。

 例えば、子が持つ住宅を他人に賃貸に出し、子自身は親族(3親等内の親族とします)が所有する住宅に引っ越したという場合、引っ越したのが相続開始の3年以上前であれば、従来は③に該当し、この特例の対象でした。しかし、改定後はAの条件に引っかかるため特例の対象外となります

 また、子の持つ住宅を親族に買い取ってもらい、そこに引き続き居住する(相続発生後に買い戻すことを狙う)というような場合も買い取ってもらったのが3年以上前であれば従来は③に該当し特例の対象でしたが、改正後はBの条件に引っかかるため特例の対象外となります(親族が3親等内であればBだけでなくAにも引っかかります)。

【3】新築住宅での固定資産税や不動産取得税の特例

 今回の税制改正では新築住宅の固定資産税の特例について2年間延長される予定です。また新築住宅や宅地にかかる不動産取得税の特例も3年間延長される予定です。最後にこれらの特例についてまとめます。

 固定資産税は保有する住宅や土地に毎年課税される税金です。「課税標準×1.4%」で計算されるのですが、新築戸建住宅では以下のような特例があります。

 この固定資産税の特例は2018年3月31日までの予定でしたが、2年間延長される予定です。長期優良住宅は一般住宅に比べて減額される期間が長くなるのですが最後にまとめます。

 不動産取得税は住宅を取得した時に一度だけかかる税金で、以下のように計算されます。不動産取得税の税率は本来4%ですが、住宅、土地を取得する場合には税率が3%に軽減されています。また住宅用の土地(宅地)については課税標準を1/2にして計算できます。これらの特例は2018年3月31日までの予定でしたが、3年間延長される予定です。

 なお、認定長期優良住宅(や認定低炭素住宅)については上記でもみたように軽減額が大きくなっています。これも特例の1つなのですが、2018年3月31日までの予定だったものが2年間延長される見込みです。

 今回は2018年の税制改正の住宅購入に関する部分をまとめました。各特例の利用には細かな条件を満たす必要がありますし、今回見た税制優遇の他にも住宅ローン減税やすまい給付金等、住宅購入には様々な優遇制度があります。税制やその他優遇の最新動向については住宅展示場でハウスメーカーに相談してみるのもよいでしょう。なお今回の税制改正大綱については、通常であれば3月末頃に国会にて成立する見込みです。

 

監修・情報提供:株式会社FPアルトゥル 代表取締役
ファイナンシャルプランナーCFP® 井上光章
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本記事はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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