ライダース・パブリシティが運営する全国の住宅展示場ガイド【家サイト】

家づくり最新コラム

【第66回】家賃収入でゆとり生活!稼ぐお家・賃貸併用住宅必勝ガイド

 賃貸併用住宅とは、自宅と他人に貸す住宅(店舗)を一軒の建物にする住宅です。所有者には家賃収入や税制上のメリットが多く、また建築技術が向上したこともあり、近年は賃貸併用住宅を建てる方が増加しています。今回は賃貸併用住宅を計画する際のポイントを解説します。

【1】賃貸併用住宅を建てるメリット

 住宅用の土地には、地域ごとに建築基準法で確保できる空間が定められています。敷地面積に対して建築可能な面積割合(建ぺい率・容積率)や、建物の高さ、北側隣地に対する日陰影響の考慮など、制限の範囲内で建築しなければなりませんが、自宅だけでは建築可能な空間を利用しきれない場合、賃貸併用住宅を検討できる可能性が出てきます。

※建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のこと。 ※容積率とは、敷地面積に対する建築延べ面積の割合のこと。

 建築基準法で建築可能な未利用空間を活用し、自宅の一部を賃貸空間にする事で賃料収入を得られます。下図の事例の場合、毎月の返済額が35年分の差額で2,500万以上に及び、増加する建物固定資産税(35年分差額約255万程度)、一般的な家賃下落率等を考慮しても35年間の返済額の差額は、およそ2,000万以上に及ぶと考えられます。

 他にも資金計画や税金面で様々なメリットがあります。まず資金計画では自宅部分の面積が50%以上の場合、住宅ローンが使えます。賃貸経営のみの場合の金利が割高な事業用融資に比べると、住宅ローンは返済期間や金利面で非常に有利です。
 また、税制面でも建築費用のうち自宅部分相当額は住宅ローン控除対象となり、賃貸部分相当額には減価償却や必要経費が賃料収入から控除され、所得税・住民税に大きなメリットがあります。

 しかし自宅のみに比較して建築費が高額になる為、賃料収入が計画を大幅に下回ってしまうと返済計画やライフプランにも悪影響となる場合もあります。
 そうした事態を防ぐためにも、魅力ある賃貸空間を維持する事が大事なポイントになります。

【2】賃貸経営のトレンドと物件の魅力を維持するポイント

 賃料収入を長期間維持する為に必要なポイントは、大きく2つあります。

①入居者ターゲットを絞り、コンセプトに配慮した設計を提供する

 価値観や生活スタイルが多様化している時代です。数ある物件から選ばれる為には、賃料以上の魅力=付加価値を高くする事が大きなポイントになります。男性・女性、学生・社会人、独身・家族など、想定する入居者によって設計で配慮すべき点は大きく違います。
 さらに入居者が魅力を感じる価値観や生活スタイルをテーマに、コンセプトを伴う賃貸空間を提供する事で、入居者に選ばれ、長期間住んで頂ける物件になるはずです。裏を返すと「万人共通」の賃貸では、住み続けたい魅力が少なくなりがちなのです。

ターゲットを絞ったコンセプト事例
②修繕積立金の確保

 賃貸経営の最大の弱点は「古くなる」という事です。正確には「古く(汚く)見える(感じる)」という事です。建物の維持管理、消耗する部品や設備交換、大規模なメンテナンスには費用が掛かります。必要な修繕時期から逆算して、費用を計画的に積立ておく事で十分なメンテナンスや設備交換に備えられます。下記の左表では消耗品金額の目安を一覧にしており、右表ではそれを元に、毎月いくらの修繕積立金をすれば良いかをわかりやすくしています。25㎡程度の部屋の場合、一室当たり毎月9,000円程度の積立てが必要になることがわかります。

 エアコンや給湯器など機械系の設備は、劣化ではなく故障により修理や交換が必要になる事も考えられます。エアコンや給湯器などの設備が、通常使用中に気象災害や劣化ではない原因で故障した場合、修理費が支払い対象となる補償特約が付帯されている火災保険でカバーする事が出来ます。賃貸併用住宅の場合、賃貸部分の火災保険・地震保険料相当額は経費算入できます。また自宅部分の地震保険料相当額は地震保険料控除の対象となります。火災保険は必要な補償内容や補償範囲と保険料をよく比較して、加入を検討しましょう。

【3】賃貸併用住宅を成功させる為のポイント

 賃貸併用住宅を計画する方は、賃貸事業の経験がない方が多いはずです。賃貸経営は、稼働後にターゲットやコンセプトの変更が難しい事業です。つまり計画時に方針を十分に吟味して決定することが求められます。魅力あるコンセプトや、想定したターゲット層が住みたくなる空間を作る為のポイントは、大きく2つあります。

①市場調査をしっかり行う

 ハウスメーカーや建築会社に依頼すると、物件エリアの様々なデータ分析をしてくれます。調査項目は各社オリジナルの書式が多いですが、必須項目は下記2項目です。
・年齢別人口分布 
・周辺エリアの賃貸物件状況(間取りタイプや家賃相場等)

市場調査報告書サンプル

調査データを分析したら、
計画中の設計やコンセプトに需要が見込めるか 
地域の類似物件より優位性があるか 
総合的に事業計画が成立するか
専門家の意見と自分の見解が一致するかをしっかり確認しましょう。

②パートナー(専門家)の選択

 自宅と賃貸を合わせた建物を建築するには、高度な「設計」「資金計画」「インテリアデザイン」「税務知識」が必要になります。何より賃料収入を継続して得るためには、建築後の募集管理が最大のポイントになります。
 例え募集管理がサブリース(家賃保証)方式であっても、入居者は建築会社ではなく、賃貸管理会社が探して連れてきてくれます。

サブリースの仕組み

 つまり賃貸併用住宅の場合、パートナー(専門家)は建築会社と賃貸管理会社の両方となります。そして、実績や経験値をしっかり見極める事こそ成功の秘訣です。

 賃貸併用住宅はポイントをしっかり押さえて計画していけば、決して難しい事業ではありません。むしろオーナーが同じ建物に住んでいる事が、防犯性や災害時の不安軽減が期待できる点などは、一般賃貸物件にはない強みです。住宅展示場には賃貸併用住宅の様々な実績と、募集管理のノウハウを持つハウスメーカーがあります。実例見学会や賃貸経営相談会イベントに積極的に参加するなど、信頼できるパートナーを探して、ワンランク上のライフプラン実現を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

監修・情報提供:株式会社イーズエフピーオフィス 代表
ファイナンシャルプランナー 山口英一
©2018 Next Eyes.co.Ltd
本記事はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
本記事に掲載しているテキスト及び画像の無断転載を禁じます。

PAGE TOP