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【第81回】 資金計画のポイントや金利の動向を解説 2020年の住宅ローン賢い借り方ガイド

 住宅ローンを組む際にはまず、老後資金などの貯蓄がしっかりできるよう資金計画を立てる必要があります。共働き夫婦が資金計画を考える際、夫婦2人でローンを組むか1人で組むかで迷う人も多いですが住宅ローン減税の観点で考えてみる方法もあります。また今回は2020年の住宅ローン金利の動向についてもまとめます。

【1】老後資金をしっかり確保するための資金計画の立て方

 住宅ローンを組む際、ローンの支払をしながら、教育費や老後資金をきちんと貯められるのか、という不安を持つ人も多いです。この不安を解消するには、数値で考えることをおすすめします。老後資金についてはたとえば60歳時点で退職金以外にいくら貯めておきたいかを考えます。退職金以外に2,000万円~3,000万円の貯蓄があればそれなりに豊かな老後が送れるはずです(ライフプランにもよるのであくまで目安です)。今30歳として60歳までの30年間に、退職金以外でたとえば2,000万円貯めるとすると1年あたり約70万円の貯蓄が必要という計算になります。ボーナスを考慮しなければ毎月約6万円の貯金が必要です。

 教育費に関しては、たとえば今から15年で、大学4年間で必要な金額500万円を準備する、とした場合、年間35万円程度、月換算で約3万円の積立が必要になります。

 本来は、家計の状況やライフプランなどをもっと細かく検討し、もっと精緻な貯蓄計画を立てていくべきですが、それもなかなか大変です。まずは上記のようなざっくりした計算でもよいので、貯蓄の目標を立てるところからはじめてみましょう。貯蓄の計画が立てられれば、それを基に住宅ローンの支払いに回してよい金額が決まっていきます。

【2】住宅ローンを夫婦2人で組むか判断するポイント

 共働き夫婦が資金計画を考える際、2人でローンを組むか、1人でローンを組むかで迷う方は多いです。1つの考え方として、住宅ローン減税の観点から考える方法をご紹介します。たとえば夫1人で4,000万円のローンを組んだ場合の住宅ローン減税が344,000円になったとします(図表3)。住宅ローン減税は、毎年の年末残高の1%分、受けられるはずなので、本来389,000円の減税が受けられることになり「使わないで余っている枠」があることになります。

 こういう場合、たとえば、夫のローンを3,000万円にし、妻分を1,000万円にすると、図表4のように夫婦合計の住宅ローン減税は389,000円と1人で組む場合より多くの減税が受けられることになります。

このように、夫婦2人でローンを組むべきか迷っている方は、住宅ローン減税という観点から考えてみるという方法もあります。(考えるべき他の観点もありますので総合的な判断が必要です)。

【3】2020年住宅ローン金利動向

 最後に住宅ローン金利の動向についてまとめておきます。過去5年間のフラット35の金利と大手都市銀行の変動金利の推移をまとめると図表5のようになります。大手都市銀行の変動金利は0.625%でここのところ変化はありません(0.625%は店頭手続きタイプの最優遇金利)。
 フラット35の金利は2016年のマイナス金利政策導入後に大きく下がり、その後少し戻してほぼ横ばいでしたが、2019年に入り低下しました。世界的に金利が低下した影響を受け日本でも長期金利が低下したためです。しかし9月、10月に過去最低金利1.11%をつけてから、11月1.17%、12月1.21%と少し上昇しています。

 住宅ローンの金利のうち変動金利などは「短期金利」と連動する傾向にあります。短期金利は日銀がコントロールしていると言えます。短期金利に関する日銀の政策が大きく変化することはないはずなのでそれと連動する変動金利タイプの住宅ローンも、2020年は大きな動きはないのではないかと予想されます。

 フラット35をはじめとした全期間固定金利などは「長期金利」と連動する傾向にあります。長期金利は本来、市場が決めるものですが、現在では日銀の政策の影響が大きくなっています。長期金利に関する日銀の政策も現状維持が基本だと考えられるため、全期間固定金利も大きな動きはないのではないかと予想されます。
 なお現在の住宅ローンの低金利は金融機関同士の金利引下げ競争という面もあります。確率は低いかもしれませんが、どこかの金融機関が金利競争から離脱すると、他も追随し、全体的にローンの金利も上がってくるという可能性はゼロではないでしょう。

 今回は資金計画の考え方や2人でローンを組むべきかの判断材料、住宅ローン金利の動向についてまとめました。住宅ローンの最新情報については住宅展示場でハウスメーカーに相談してみるといいでしょう。

 ※2019年12月1日時点の情報です。

監修・情報提供:アルトゥルFP事務局 代表
ファイナンシャルプランナーCFP® 井上光章
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本記事はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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