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【2020年度 災害対策/レジリエンス コラム第6回】家族と家財を守れる家~地震に備えた耐震化と補助金のまとめ

 家の購入や建て替えを考えた時に、必要な性能として真っ先に思い当たるのが「耐震性」ではないでしょうか。地震の多い日本では、地震に強い家は必須の性能です。今回のコラムでは、その地震から家族だけでなく家財も守れる家にするにはどうしたらよいかについてお伝えします。

【1】多発する地震に耐震性は必須の性能

耐震性の低い住まいは、ひとたび大きな地震に見舞われた場合に、そのまま住み続けることができなくなる恐れがあります。まだ記憶に新しい熊本地震の時にも行政から委託を受けた建築士が建物の安全性を確認し、倒壊の危険性が高いと判断された場合には、立ち入り禁止となり、避難所生活を余儀なくされた方も多かったと、各種報道で伝えられていました。避難所生活では、空調だけでなくプライバシーが確保されにくく、さらに現在のコロナウイルス感染症対策としての三密の回避なども難しい環境にあるため、非常に不便な生活をせざるを得ない状況となります。また、家が倒壊してしまった際には、想い出の家財道具も損壊することとなり、経済的にも精神的にもダメージを受けることとなります。

このような状況を回避するには、住まいの耐震性が重要になってきます。耐震性を考える上では、その建物が建てられた時期を確認することが重要です。昭和56年6月に建築基準法が改正され、それ以前に建てられた建物を「旧耐震基準」。それ以降の建物を「新耐震基準」とし、より高い耐震性が求められるようになりました。特に旧耐震基準で建築された建物は、筋交いや壁のバランスが取れていない場合もあり、地震などの際には、ねじれて倒壊する危険性をはらんでいます。耐震基準については、1995年の阪神淡路大震災を経て、2000年6月に木造住宅において、「地盤に適切な基礎」「構造材の接合部」「耐震壁のバランス強化」についての変更が加えられています。



「旧耐震基準」と「新耐震基準」の違いは、建築基準法で以下のように考えられています。

・旧耐震基準:中規模の地震動(震度5強程度)でほとんど損傷しない
・新耐震基準:大規模の地震動(震度6強~7)で倒壊・崩壊しない

柱と梁をガッチリと固め、地震等の外力が加わった際には、その力に負けず耐えうるというのが耐震性の考え方です。しかし、想定以上の力が加わったときには、壊れながら少しずつ崩れていく仕組みになっており、中にいる人が避難できるまでは倒壊しないという考え方です。

旧耐震基準の場合は、近年多発している震度6強以上の地震で倒壊する恐れがあるということです。また新耐震基準の場合にも注意が必要です。「倒壊・崩壊」しないという基準は、倒壊しなくとも、大きな損傷は受けてもやむを得ないということになります。つまり、骨組みの柱や梁が一度損傷してしまうと、外見上問題ないように見えても、二度目の地震ではもろく崩れてしまう可能性が高まります。熊本の地震でも2度目の大地震が1週間後に発生し、倒壊してしまった家が数多くありました。

長寿命の建物になるほど、受ける地震の数が多くなります。日本のような地震が多発する地域で、長きにわたり安心して住み続けられる家を建てるには、建築基準法で定められた耐震性を守るだけでは高い安全性を担保することはできないということになります。

【2】家の耐震化には補助金・助成金を活用

国土交通省や行政において、特に旧耐震基準で建てられた家は危険性が高いために耐震性を高めるための補助金や助成金を出しています。例えば、東京23区内では板橋区で「木造住宅の耐震化推進事業」として対象の建築物に対して耐震補強工事等を実施した場合に、最大100万円の助成金を受けられます。(各種条件があります)

助成を受けるためには、以下の条件をすべて備えている建築物が対象になります。条件にあてはまるようであれば行政に相談し、対象になるかどうか確認することが必要です。


 

1. 住宅(住宅以外の用途を兼ねる場合には1/2以上が住宅のもの)
2. 木造2階建以下
3. 昭和56年5月31日以前に建築
 

また耐震補強だけでなく、建替え工事においても以下の条件次第では100万円を限度に助成金を受けられるようです。

1. 特定地域内の建築物
2. 耐震診断を受けていること
3. 耐震診断の結果「倒壊する可能性がある(1.0未満)」と判断された建築物であること
4. 主要用途が住宅で、準耐火以上の耐火性能を有する建築物へ建替えすること
5. 建築物の外壁面が隣地境界線から50センチ以上後退した計画であること
6. 建築物の外壁面が隣地境界線から50センチ以上後退した計画であること

となっております。(詳細は板橋区役所へお問い合わせください。)

板橋区以外に北区でも耐震建替え工事にかかる経費の一部として最大100万円(整備地域での耐震建て替え工事は120万円)助成されます。さらに高齢者世帯等の方が耐震建替え工事を行うと助成額が150万円に増額されます。

各市区町村ごとに様々な助成を行っていますので、耐震建替え工事における補助金や助成金については、役所やハウスメーカーなどの専門家に確認されることをお勧めします。なお、申請受付の期限や必要書類などがあるため、ご利用を検討される場合は、事前に確認し早めに計画を進めることが重要です。

【3】家の耐震改修などの際に使える減税制度

工事費用の助成金以外にも、所得税や固定資産税から減税になります。例えば東京都23区では耐震化のための建替えを行った住宅に対して固定資産税・都市計画税が免除されます。次の(1)~(6)すべての要件を満たした住宅が対象となります。詳しくは、住宅が所在する都道府県税事務所にお問合せください。

※参照:東京都23区の場合

また建替えだけではなく、耐震補強の改修工事を行った場合にも、その工事費用相当額の一部が所得税や固定資産税から減税になります。住宅ローンを活用した場合には、条件次第で改修工事でも住宅ローン減税を受けることが可能です。

*リフォームローンの利用有無にかかわらず利用可能です。

上記でご紹介した制度には、それぞれに期限や条件がございます。固定資産税については昭和57年1月1日以前からある住宅で、令和3年3月31日までの間に新築または、改修工事を行った住宅であること等が条件としてあります。所得税については、令和3年12月31日までに改修工事を行っていること等の条件があります。また必要書類として、工事を行ったことの証明書を建築士事務所から発行してもらう必要があります。利用される場合には、必ず詳細をお住まいの区役所・市役所などでご確認ください。

安全性の高い家づくりにおいて、特に重要な耐震性。耐震性を高めることで家族と家財を守り続けることができます。地震の多い日本では数々の耐震の技術がありますので、まずはお近くの住宅展示場等で、より安全性の高い最新の工法について専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

※本文は、2020年8月21日時点の情報に基づいております。

 


監修・情報提供:金内 浩之 (一級建築士)
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