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世界のモダンハウス

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【第28回】ギャラリーのようなLDKのあるエコロジカルな家

熱帯雨林気候の厳しい自然環境で快適さを実現したタバスコの家

外観。熱帯雨林気候の長い夏を快適に過ごす工夫の施された家。

自然の魅力あふれるタバスコの原産地に建つ

 今回紹介する住宅には、「タバスコの家(タバスコ・ハウス)」というニックネームがつけられている。タバスコと聞けば、誰もがあの赤褐色の小さなビンに入った辛味調味料、タバスコのことを思い描くのではないだろうか。タバスコは、メキシコ原産のチレ・タバスコという名前の唐辛子を主原料としている。タバスコはメキシコにある州の名でもあり、そこがこの唐辛子の産地なのである。タバスコ州は東西に長いメキシコの東の端、南米に近い部分にあり、巨大な石の頭部彫刻などで知られる古代オルメカ文明の中心だったところだ。たくさんの大河が流れ、ラグーン*を擁し、現在はメキシコの石油産業のメッカとも言われ「南東のエメラルド」と評されるほど自然と天然資源に恵まれている。古代の遺跡や極彩色の建築物には観光客も多い。また伝統的な味わいのチョコレートやバナナ、サトウキビの生産でも知られている。気候は熱帯雨林気候で、年間の気温は摂氏19度から35度。夏は最高気温が40度を超え、長く暑い。「タバスコの家(タバスコ・ハウス)」は、市街地の大通りにも熱帯植物が茂る魅力的な州都であるビヤエルモサに建つ家だ。
*環礁のように外海から隔てられた水深の浅い水域のこと

出典:google map

採光と換気に配慮した環境に調和するデザイン

外観夜景。中の楽しさが外にも伝わる大開口で自然と溶け込み温かみを感じる。

この「タバスコ・ハウス」を設計したのはメキシコシティ出身の若い女性建築家で、女性らしい細やかなデザインと色使いがうかがえる。
今回は、熱帯雨林気候による利点と難点の両方をいかに取り入れるかをポイントに計画されている。そのため、ロケーション(立地)はタバスコ州の都市部にあるとはいえ、自然や気候の厳しさをどう回避し、その上で自然とのつながりを感じさせることが重要課題だった。

1階平面図。南西に大きく広がるパティオが印象的。

368平方メートルのゆったりした敷地の北側の端に建物をL字型に配し、南西側を庭に対して開いた構成にし、テラス、プール、パティオ(中庭)を持ってきている。パティオも単にそこあるだけの存在ではなく、この家の中で最も家族が親密になる場の一つとして設計されている。

北側ファサードは外部と遮断し、換気窓を上部に設けている。

北側のファサードはこの建物で最も長く、ブロックの塀に守られ、上層の高い位置に水平の細長い窓が連続するので、これだけでは一目で住宅とは分からないかもしれない。これは建物への直射日光の影響をできるだけ回避し、外部からの視線を遮断する効果もある。また、南側の開口部から北側へ抜ける風の流れを生み、換気を考えた窓の配置となっている。

左:熱帯気候で直射日光が強い。庭側に日陰を作るように設計されている。
右:庭とリビング・ダイニングの間にあるパティオは室内と外を自由に行き来ができるよう設計されている。

北側とは打って変わって反対の庭側は芝生に面し、開放的である。庇を大きく出して、パティオへの日光を遮り、その影を利用して住人たちはリビングからパティオへ、そこから続く庭へと開放的に行動ができるよう考えられている。
また、この住宅では「パッシブハウス*」のアイディアも考慮され、ソーラー発電によってインバータ(自動制御)式のエアコンを可動させている。余談だが、海外の民間用エアコンは日本とは違って、かなり大雑把な冷房機能しかないものが多い。冷やす強弱の程度を変えるだけのものが多いなか、この住宅では冷房の仕方にも配慮し、エコ冷房を目指している。
*ドイツパッシブハウス研究所が規定する性能認定基準を満たす省エネルギー住宅のこと

左:吹き抜けが心地よいリビング・ダイニング。
右:リビング・ダイニングにある一面の壁は、書棚をメインに書斎のおもむきがある。

エコといえば、内部の空間の構成も環境と調和するエコロジカルな考えが見られる。家族が最適な環境で共に生活できるように設計されていると言うリビング・ダイニングは、1階から2階までを大胆に利用する吹き抜けが特徴だ。そのリビング・ダイニングは書斎でもあり、快適さと実用性を兼ね備えた空間を実現している。壁面の書棚によって、この吹き抜け空間がいかに解放感のある空間であるかを見ることができる。家族で集まる居心地の良さも考えて設計されているのだ。

カラフルで多様なテクスチャーのインテリア

キッチンカウンターのトップは自然木の大胆なものを使っている。

インテリアを見ていこう。内部では基本的に、コンクリートの打ちっぱなしがメイン素材であるが、床は磨き仕上げをほどこし、壁はコンクリートの中にスチールのフレームや木製のインテリアを組み合わせている。配置されているインテリアはテクスチャー(肌ざわり)を重視した明快なものが多く選ばれている。それと対照にして自然のままの形状を残した大胆な加工の木材をカウンタートップに使ったキッチンは印象的だ。カラースキーム(色彩計画)は、グレーと木の茶色もしくはこげ茶色、スチールの黒をメインとして、家具もそれに同調するような類似の色を選んで調和させている。

左:洗面台周りには引き込まれるような緑のタイルを用いている。
右:別の洗面室はサンルームのように明るく、ガラスから覗く植栽や丸石がおしゃれに配置されている。

洗面台まわりには地元の先住民の築いたオルメカ文明の出土品を連想させるようなインパクトのあるグリーンのタイルを用い、魅力あるコントラストで見せている。また別の洗面室ではガラス越しに丸石が敷き詰めているのを見ると開放感がある。

コンクリートの中に、様々なテイストの照明を飾り遊び心のあるおしゃれな空間だ。

遊び心を感じさせるのはペンダント照明だ。アーティスティックなデザインのものが各所にみられ魅力的である。あるものはレトロモダンの硬派な印象のもの、またあるものは少しの空気の流れにも反応して動くモビール(動く彫刻)のようで柔らかさを感じさせる。

左:書棚には書籍以外にも、オブジェ等が置かれギャラリーのように楽しめる。
右:ものは全て書棚に飾りすっきりと落ち着いたリビングである。

内部のフォーカルポイント(注視点)はやはりリビング・ダイニングにある書棚である。ここには本だけでなく、さまざまなオブジェや記念物が集積され、まるでギャラリーのように見える。これ以外のスペースにはあまり物は置かれておらず、すっきり暮らすミニマリスト風のライフスタイルがうかがえる。

都市部では敷地の北側と南側をどうしつらえるかが家づくりの際に重要になってくる。建物が密集したエリアでは、北側が閉じたものになりがちであるが、採光や冷暖房を考えた場合、外部に閉じる以外の解決策もあるかもしれない。さまざまな自然条件のもとで最適な住環境を作ることができるか、住宅展示場では自分の敷地の条件を踏まえながら、そういう相談もしてみたい。さまざまな提案をしてくれることだろう。

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