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2016年7月 第6回 アルプスの村の家

切妻屋根の小さな家という外観。屋根の葺き方を良く見るとひし形パターンになっているのが今時で新鮮。

アルプスの村の小さなモダニズム

 風光明媚な人気観光地、アルプス山脈の国々といえば多くの人はスイスやオーストリアを連想するだろう。その反対側にある国、スロベニアを思う人は、ヨーロッパ事情通の人に違いない。近年は太陽が燦々と輝くスロベニア側アルプスの魅力が広く知られるようになり、世界各地から旅行者が訪れているという。
 この家はそんなスロベニア側アルプスのトリグラフ国立公園の端にあるスタラフジーナという山村にある。
 切妻の屋根を持つ外観は周囲の村の風景に自然に溶け込んでいるが、現代建築家の設計したモダン住宅としてディテールと仕上げには様々な工夫とコンテンポラリーなセンスが効いている。
 敷地わずか100平米。伝統的な環境になじませるために屋根はクラシックな切妻としているが、素材はファイバーセメント板。これを斜めがけに貼って屋根を葺いた。また窓枠や枠等の金属部分には亜鉛メッキを施して経年感のある味を出し、アクセントとしているのも、いまどきの意匠である。

歴史遺産の風景になじませる工夫

一階は木製の大きなスライディング・パネルを当てた雨戸になっている。機能的で環境との関係に配慮している。

 アルプスの村という文化遺産のロケーションにシンプルなモダン住宅を建てるには、環境への配慮が求められた。建築家は文化資産保護局の許可を得て素材の選択などに注意を払い、環境に調和するよう計画した。代々人々が住み続けた歴史ある村にいかにも現代的な家が建てられることで違和感があってはならないため、クリアしなければならない様々な条件があった。
 建物の向きに関しても、外からはガラスの開口面があまり目立たないよう、かつ内側では住人が眺望をうまく取り込んで楽しめるよう方角に注意し、元の敷地に対して90度回転させた配置となっている。切妻の小さな村の家という趣の外観は、どこか日本の住宅を思わせるし、ノスタルジックで親しみがある。

部屋を貸すことを想定した家づくり

二階は主寝室。窓からの眺めはのどかな風景がひろがる。

バスルームは、天窓が外の風景を切り取り開放感が増す。
白を基調としたモダンな設えになっている。

 現地の感覚からすれば小ぶりな家だが、平面計画を見ると空間の使い方が機能的で、ユーティリティを中央にすっきりとまとめられている。将来的な居住の変化にも対応出来るよう先をにらんでいるのがポイントだ。
 一階エントランスから入ると、まず向かいには作り付けのワードローブがあり、かなりの収納が可能だ。
 右手には客室ともなるスタジオ(ワンルーム)・アパートメントとそれ用のバス&トイレにしている。これは、将来この空間を賃貸とするためであるが、当座はここ自体を寝室にすることもできる。
 左手にはメインのキッチン、ダイニング、リビングルーム、奥のドアからバス&トイレに入れる。その階段から二階にアクセス。二階は主寝室と眺望のための天窓のあるバスルーム。さらに奥にはサブの寝室がある。
 現在は夫婦二人で住み、一部屋を貸す予定でいるが、将来もし必要があれば、賃貸はやめて一家四人でも十分住むことができるような空間配分と設えになっている。

テーブル、チェア、床、キッチンユニット、すべてが木調で暖かい。
家具が少ないのも快適さにつながる。

雨樋は金属製でシンプルなデザイン。

 内装材は壁、床、つくり込み収納などの家具もほとんど全てが木で、その多くは地元産のカラマツを用い、これにオイル塗装、ワックス塗装を施しており、温かみを感じさせる。また石材はこれも地元産のものを使っている。金属の材はオリジナルデザインである。例えば、雨樋は伝統的な木製雨樋での作りを金属で置き換えているなどローカルの建築スタイルに敬意を払っている。

ガラス越しに切妻屋根の庇(ひさし)を長めに伸ばしているのが見える。耐候性を考えた雨仕舞いだ。

 住宅は家族だけのプライベート空間とするのが常識ではあるが、近年はパブリックな要素を取り込むものも出てきた。例えば、交換留学生を家にステイさせる、民泊として人を泊める、進学などで出てきた親類や知人に貸すなど。家族以外の人が使えることを考える人も出てきている。ここに紹介した住宅はワンルームでの賃貸を想定したものだが、日本でもそうした用途を考えて家を建てる人が増えてきている。住宅展示場で家を見るとき、第三者の目線をプラスしてみるとまた違った面やマイホーム計画が見えて面白くなるのではないだろうか。

Source:http://www.archdaily.com/785802/living-in-alpine-village-skupaj-arhitekti
Project Living in Alpine village
location: Lake Bohinj, 4265 Bohinjsko jezero, Slovenia
Architect:Skupaj Arhitekti
http://www.skupajarhitekti.com/news__novosti,639,0.html
Architect in ChargeMeta Kutin, Tomaž Ebenšpanger
Photos:Janez Marolt
Japanese original Text;Masaaki Takahashi

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